知らないうちに進行しているかも!? 発見しにくい犬の病気一覧

犬の病気の中には、たとえ発症していたとしても、身近にいる飼い主が気づかないまま、発見されにくい病気もある。犬の発見しにくい病気にはどんなものがあるのだろうか。愛犬のために知っておきたい。
 

 
気がつきにくい病気1

顔・頭まわり

発見しにくい犬の病気

顔まわりに起こる病気には、いろいろある。そんな中でも、症状が出ていても見逃してしまいがちなものをあげてみよう。

 
■口の中の腫瘍

どんな病気
メラノーマ(悪性黒色腫)、扁平上皮がんなどが、多くみられる。メラノーマは口の奥の方にできやすいため、より見つけにくいが、臭いニオイを出すのが特徴のひとつ。

症状
口の中にできる腫瘍は、痛みを出さないものが多い。最近、口臭が強くなってきた、ゴハンを食べにくそうにしているなどの様子が見られたら、口の中に異常があると疑って。

治療
できている場所や大きさ、程度によって、外科手術、放射線治療、抗がん剤治療を行っていくことになる。かなり進行してひどい状態だと何も手がつけられない場合もある。

 
▼あくびで偶然発見!

口の中の腫瘍は喉の奥の方にできやすいため、ぱっと見ただけではわからないもの。

たまたま愛犬があくびをした際に、口の奥まで見えたことで、異常に気づいたというケースも少なくない。

また、強い口臭がするのも症状としてあるが、ずっと一緒にいると飼い主がそのニオイに慣れてしまっていることもあるのだとか。

来客から教えてもらって、愛犬の異臭に気づく場合もある。

日頃から口の中をチェックされることに慣らしておくのも大切。

 
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■脳腫瘍

どんな病気
脳にできた腫瘍が大きくなるにつれ、さまざまな障害が出てくる病気。神経を圧迫していくと神経症状を出すが、ひどくならない限り、なかなか飼い主が気づきにくい場合もある。

症状
歩き方がふらついて、真っすぐ歩けなくなる。いつもと比べて目つきがおかしい。眼球が上下や左右に揺れる。異常な食欲があり何でも食べてしまうなど。

治療
CTやMRI検査で腫瘍ができている位置や大きさを精査し、犬の体調や年齢、飼い主の考え方によって治療法を選択していく。悪性度の高いがんの場合は治療が難しいことも。

 
■目の異常

どんな病気
失明を引き起こす病気にもいろいろあり、SARD(突発性後天性網膜変性症)、網膜剥離などがあげられる。これらは少しずつ視力を失うのではなく、いきなり失明してしまう。

症状
犬が失明していることに、意外と気づかない飼い主もいる。最初のうちはものにぶつかることもあるが、慣れてくると犬は平気で歩いていることもあるため、見逃しがちになる。

治療
SARDは原因不明の病気であり、今のところ治療法もない。網膜剥離は、はがれてしまった網膜が大きいと失明につながる。状態が軽ければ治療は可能だが、難しい場合もある。

 
気がつきにくい病気2

内臓

発見しにくい犬の病気

内臓に起こる病気の中にも、病気がかなり進行しないと目立った症状を出さないものも多い。どのようなものがあるのだろうか。

■肺の腫瘍

どんな病気
肺にできる原発性肺腫瘍と、肺以外の部分にできた腫瘍が転移して、肺にできる転移性肺腫瘍とがある。

症状
肺は、容積の70%程をがんが占拠するまで、目立った症状を現さないと言われている。悪化すると咳が出てくるが、症状が出てきた時にはかなり進行していることになる。

治療
腫瘍の種類や大きさ、できている位置などに合わせて、外科手術、化学療法、放射線療法などを選択していく。病気がかなり進行している場合は何もできない場合もある。

 
■心臓病

どんな病気
生まれながらに心臓に何らかの奇形がある、心奇形と言われるものや、心不全など、心臓の病気にもいろいろある。咳などの症状がある時は病気が進行していることが考えられる。

症状
生まれながらに構造異常のある心奇形や、加齢による心不全、遺伝とストレスによる心筋症、感染による心内膜炎、不整脈などさまざま。疲れやすい、咳がでるなどの症状は、中期以降の心不全でみられる。

治療
より詳しく調べるにはレントゲン、心電図、血圧、心臓のエコー検査が必要となる。検査の結果、その病態に合わせて、内服薬、ペースメーカー、手術で治療を行っていく。

 
■肝臓疾患

どんな病気
肝臓疾患の中にもいろいろある。さまざまな原因で炎症を起こす肝炎や、慢性的な肝炎から肝硬変を起こすこともある。また肝臓は腫瘍もできやすいため、これらの鑑別をしっかり行うことが大切。

症状
肝臓は「沈黙の臓器」と言われるだけに、異常が起こってもわかりにくい。状態によって症状も違ってくるが、食欲不振や嘔吐などで調べると肝臓疾患が発見される場合が多い。

治療
血液検査の段階で、肝臓に何らかの異常があることはわかる。だが、状態に合わせて必要な薬や治療法を見つけるためには、超音波検査や肝臓生検検査などでさらに詳しく調べる必要がある。

 
■膀胱炎

どんな病気
膀胱炎には急性と慢性とがあり、慢性膀胱炎は飼い主が見逃してしまいがちになる。慢性になっていると排尿時の痛みなどに犬が慣れてしまい、そのためなかなか気づかないことが多い。

症状
血尿が出るなど、明らかにオシッコがいつもと違うとなれば、異常はわかるもの。だが、見た目は普通のオシッコということもあり、調べると実は細菌や結石が含まれている場合もある。

治療
尿検査と超音波検査などを行い、膀胱に炎症を起こしている原因を特定したうえで、その原因や状態に合わせた治療を行っていく。抗生物質などを用いた内科的治療以外に療法食を与えていく場合もある。

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■血栓症

発見しにくい犬の病気

どんな病気
血管内に血の固まりが詰まることで、さまざまな障害を出す。血栓を生じやすくなる原因には心臓性、悪性腫瘍、副腎皮質機能亢進症、膵臓炎や甲状腺機能低下症などがある。

症状
血栓が体のどこに起きているかによって症状は違ってくる。脳にできれば脳梗塞となり、肺動脈に詰まると即死する。腹部大動脈に血栓が詰まると足が壊死を起こし命に関わる。

治療
血栓の状態がどのくらい時間が経過しているかによって違ってくるが、基本的には血栓溶解剤を使い、血栓を溶かす。薬で難しい重度の場合は手術で血栓を取り除く場合もある。

 
■たんぱく漏出性腸症

どんな病気
腸管からたんぱく質が漏れ出してしまうことで、体内のたんぱく質が異常に失われる病気。原因は免疫介在性、腫瘍、慢性腸炎など何らかの腸管の障害によるものが考えられる。

症状
最近多いと言われている病気であり、注意しておきたい。発症しても、重度にならない限り、症状を出さない。重度になると腹水がたまり、命にも関わる。

治療
原因によって治療法は異なる。食事療法とサプリメントだけで改善・維持する場合もあれば、ステロイドなどの内服薬の投与も加えた治療を一生続けなければならない場合も。

 
▼下痢で来院し発覚

たんぱく漏出性腸症や腸内寄生虫、腸管腫瘍は、よほど進行しない限り、症状が出ないため、見た目にはまったく普通のことが多い。

食欲は落ちていないが、下痢や軟便がなんとなく続くのが気になる、と診察に来た犬を検査すると、たんぱく漏出性腸症や腸内寄生虫、腸管腫瘍が発見されるケースはかなり多いそうだ。

 
■大腸ポリープ/大腸がん

どんな病気
何らかの原因で大腸に突起が出来るのがポリープ。基本的に良性のものを示す。悪性のものが大腸がん。悪化すると下血が続き、また出血がひどい場合は貧血を起こすことも。

症状
毎日の血便が主な症状。よく見ていれば、ウンチに鮮血が付着していることに気づくのだが意外と見ていない場合も多い。外で排泄する場合は特に見落としがちなので注意。

治療
ポリープは、内科的治療で改善する場合もある。がんの場合は外科手術のほか、抗がん剤など状態に合わせた治療を行っていくことになる。

 

わずかな変化にも敏感になることが早期発見に

発見しにくい犬の病気

脳や内臓にできた腫瘍は、どうしてもわかりにくいため、発見が遅れがちになってしまう。人間は血液検査によって、腫瘍マーカーといわれるものがあるが、犬にはそれがないとのこと。

体の中にできる腫瘍を早期発見するためには、健康診断として、血液検査や超音波検査、レントゲン検査などを定期的に行うことを心がけるしかない。

また、あとは普段から愛犬の体をよく見て、触っておくこと。例えば、肝臓が腫れてくれば、犬を上から見た際に、肋骨の一番後ろのあたりが、横に広がったように見える。こうしたいつもと何か違うことはないかどうか、わずかな変化も見逃さないようにすることが大切。

今回紹介した病気についての知識を持っておくと役立つ場合もある。

どこかに異常があると思った時に、もしかしたらこの病気の可能性はないのかな? と考える手がかりになるかもしれない。

 
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コーギースタイル Vol.38『知らないうちに進行しているかも!? 発見しにくい病気』より抜粋
※掲載されている写真はすべてイメージです。

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