犬びより

ペチャの魅力部位を健康に! デリケートな鼻の特徴と起きやすいトラブル

2020/05/11

ペチャの鼻は短いが、基本的に収まっている器官とそれらが果たす機能はマズルが長い犬と同じだ。ただ、骨格の違いから感受性が良くなく、嗅覚は他犬種より衰えるといわれている。ペチャの鼻の構造を詳しく見てみよう。
 

 

人為的に改良された犬種なだけに弊害も

ペチャのようにマズル(鼻)が短い犬を短吻種と呼ぶ。つぶれた鼻は愛嬌があり、その表情は人間的だ。パグ、フレンチ・ブルドッグ、ボストン・テリアもルーツをたどれば闘犬のマスティフ種といわれる。

宮廷の愛玩犬として改良されたパグは別として、フレンチ・ブルドッグとボストン・テリアは、19世紀ヨーロッパで流行した牛や熊と戦わせる見世物で闘犬として人気を博したブルドッグの血を引くが(見世物の歴史については諸説ある)、その際に対象物にかみついても呼吸できるように鼻は短く、人為的に改良された歴史がある。故にペチャは、マズルの長い犬とは違う特徴があるようだ。

現在、家庭犬としてかわいがられるペチャはマズルの短いものを掛け合わせて作り上げた犬種。その短い鼻は単に短くカットしたのではなく、鼻腔の部分を押しつぶして作られているようなもの。イメージでいうとストローの袋をクシュっと縮めた状態。

このように人の手により半ば強制的に作られている犬種なので、例えばキリンが環境に適応しようと首を長くしていったように進化の過程で必然的に変化を遂げたわけではない。人為的に血統を固定した経緯を考えれば、それに伴う弊害は、それなりにある。

 

鼻の構造

ペチャの鼻は短いが、基本的に収まっている器官とそれらが果たす機能はマズルが長い犬と同じだ。

ただ骨格の違いから感受性が良くなく、嗅覚は衰えるといわれている。ペチャの鼻の構造を詳しく見てみよう。

 
【中頭犬種】
柴犬などのマズルの長い犬は「中頭犬種」に分類される。においの分子に湿り気を与える鼻粘膜の表面積が広く、においをキャッチする嗅細胞の数も多い。また鼻腔から入ってきたにおいをダイレクトに受けとれる位置に嗅球があるため、嗅覚は鋭いとされる。

 
【短頭犬種】
ペチャは「短頭犬種」に分類される。マズルの長い犬は頭蓋骨が横長の楕円になっているのに対し、ペチャは球体に近く、脳が収まるスペースが小さい。構造的に鼻腔が短いため嗅細胞も少なく、また嗅球が脳に押しつぶされ下方へずれ込んでいることから嗅覚は鈍いと推測される。

◆嗅球
嗅球とは鼻の奥、脳の前にあるにおいを感知する神経組織のこと。においの分子は嗅細胞でキャッチされるが、その刺激を脳が理解しやすいように信号に変換して伝えるのが嗅球の役割だ。

◆嗅細胞
鼻の中に広がる嗅粘膜に存在しているのが嗅細胞だ。この嗅細胞がにおいのもととなる分子を受容し、それを信号に変換して脳に伝える。人間の嗅細胞の構造は平面的だが、犬はラジエーターのようにひだ状になっており、その分表面積が大きい。そのため人間より高い嗅覚を発揮できるのだ。

 

鼻と脳の物理的な構造が嗅覚の鈍い原因!?

クシュッと縮まったような鼻は、鼻腔が短いだけに機能に心配がある。

においの分子は、鼻先から鼻腔を通り、鼻の奥にある鼻粘膜に存在する嗅細胞でキャッチされたあと、脳で情報に変換されるわけだが、短頭犬種であるペチャは、においをキャッチする部分の面積が小さいため、嗅ぎ分ける能力はマズルの長い犬よりも能力は劣っていると考えられる。

ペチャは鼻をこすりつけるようにして懸命ににおいを嗅いでいるが、これは嗅覚の鈍さが関係しているようだ。このような鼻の構造に加え、脳の問題も指摘されている。

最近の研究では脳の構造も関係しているのではないか、といわれている。鼻が短いペチャの頭蓋骨をMRIで見ると前後からギュッと押されるようになっていて、脳が変形しているそうだ。

脳の前側にはにおいを司る神経器官の嗅球があるが、ペチャは脳が変形した関係で嗅球が脳の前ではなく下方にずれ込んでしまい、狭い部分に押し込められた結果、嗅球の発育も悪く、においを嗅ぎ分けにくいと考えられている。

ただそれもマズルの長い犬に比べれば劣るという程度で、もちろん嗅覚は人間よりも何倍も優れている。においを嗅ぎ分ける能力が必要とされる麻薬探知犬になることは難しいと思うが、それなりに嗅覚は高いので、生活で困ることはほとんどない。

 

ペットボトル1本分も分泌される鼻水&涙

表面が濡れているのは、においの成分をキャッチしやすくするためだが、この湿り気の元になるのは涙腺~鼻涙管へ流れる涙と鼻の中(外側鼻腺)の分泌物。

量は意外と多く1日に500㎖のペットボトル1本分ほど。

涙腺から出た涙は目を濡らした後に鼻涙管に吸収されて鼻を濡らすのだが、ペチャは鼻が詰まりやすく、そのため分泌物が溢れ(外に出ず)涙目になりやすい。

 

よくある鼻トラブル

短いマズルの中に鼻腔など、鼻に収まるべきものがギュッと縮まっているためか問題も起きやすい。

遺伝などの影響もあるので、全てのペチャが該当するわけではないが、構造的に鼻、のど、気管などの呼吸器系に問題が起きやすい。特に鼻は短いだけに詰まりやすかったり、鼻腔が蛇行して空気の通りが悪くなったりと、トラブルは尽きない。

そこで気になる症例をピックアップした。気になったらすぐに動物病院へ行こう。

□出血
感染症の他に、鼻腔や副鼻腔にできた扁平上皮がん、リンパがんのケースも。鼻水がほんのりピンク色くらいなら鼻粘膜のただれも考えられるが、犬の鼻血は、外傷以外のケースは珍しいので、いかにも血らしきものが出たら、早めに動物病院へ。

 
□腫れている
鼻が腫れているのは外傷の他に、副鼻腔炎(症例は下の「鼻水」で解説)、蓄膿症などといった疾患も考えられる。また歯石が溜まって歯の奥の歯茎が化膿し、それが悪化すると目の下や鼻の横などに腫れとなって現れることもある。

 
□乾燥
起きている時に乾いていたら要注意。熱や脱水症状の危険性がある。また人間と同様に、冬などの乾燥シーズンは粘膜が乾き、コンディションが落ちやすい。乾燥するとウイルスなどが通りやくなる。鼻が適度に濡れているかは健康のバロメーターだ。

 
□鼻水
慢性的にサラサラした透明の鼻水が出るなら軽い風邪かアレルギーの可能性が。また黄色や緑色のネバネバした鼻水が出る場合は、副鼻腔炎、蓄膿症、パラインフルエンザ、カビやウイルス感染による炎症などが考えられる。動物病院へ行こう。

 
□逆くしゃみ
息を吸いながらくしゃみをするように鼻をフゴフゴ鳴らすクセのような症状を逆くしゃみ症候群と呼ぶ。使うのは呼気ではなく吸気で、意志と反して出てなかなか止められない。原因は不明だが頻繁に起こるなら鼻や呼吸器に異常がないか診てもらおう。

 
□口呼吸になる
口で息をしているなら鼻に炎症が起き、空気の通り道が狭くなっている可能性が。運動後、ハーハー口呼吸するくらいなら問題はないが、口を開けて寝ていたり、慢性的にズビズビさせていたりしたら問題を抱えているかも。一度よく診てもらおう。

 
□呼吸のしづらさ
ペチャ犬は、のどの奥の軟口蓋と呼ばれる部分が厚く「軟口蓋過長症」という呼吸器系疾患を起こしやすい。のどをガーガー鳴らして、息苦しそうにしていたら要注意だ。

 
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PE・CHA vol.20『ペチャの魅力部位を健康に! 守るべきは鼻・目・皮膚!!』より抜粋
※掲載されている写真はすべてイメージです。

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