【被毛のしくみとトラブル対策】プードルの発毛・育毛プロジェクト!

愛犬の被毛が薄くなったり色が変わったりした時、高齢だから、中間色だから、とあきらめないで!ケアの改善や適切な治療でもとに戻ることもある。あきらめずに育毛・発毛プロジェクトを始めよう。
 

 

プードルの毛が生えるしくみ

プードルの毛

■毛の成長する周期

人は成長期が5年前後、退行期が2~3週間、休止期が2~3ヶ月のヘアサイクル。成長期がとても長いので、ブラッシングをしても犬のように抜けることはない。

犬のヘアサイクルは明らかになっていないが、主毛は年単位で伸び、副毛は定期的(年1~2回の換毛期)に生え変わると考えられている。プードルの毛は伸び続けるので、主毛も副毛もヘアサイクルが長いと考えられている。

 
■被毛の違いを理解

犬は1つの毛穴から10本程度、主毛と副毛が生えている。主毛を先頭にして副毛は後ろに並ぶように生える。人の毛がつむじに向かって生えるように、犬はおしりに向かって斜めに生えている。

【主毛】
長く太い毛。被毛の先端に生える。トップコート、オーバーコート、上毛とも呼ばれる。シングルコートの犬は副毛との差が少ない。

【副毛】
短く、細く柔らかい毛。アンダーコート、下毛とも呼ばれる。定期的に抜け落ち、生え変わる。数は生涯変わらない。

【毛穴】
毛穴は犬種の差が少ないと考えられている。

【血管】
毛乳頭に栄養を届ける。分泌されたホルモンも運ぶ。ほぼ同じように神経も通っている。

【毛乳頭】
毛根にある白い玉状のもの。血管から栄養を受け取って毛を伸ばす。毛乳頭には毛に色をつける細胞も含まれている。ホルモンをくっつける受容体(レセプター)を多く持っていて、さまざまなホルモンの影響を受ける。毛乳頭は再生しないので、抜け毛が増えたら早めに対処が必要。

【受容体(レセプター)】
血液中に放出された様々なホルモンをくっつける役割がある。毛乳頭は受容体を多く持っていると憶測されている。特にマズルが多いかも?

 

シングルコートとダブルコート

プードルの毛
プードルの毛

 
コーギーの副毛
コーギーの副毛

 
コーギーの主毛
コーギーの主毛

シングル代表プードルと、ダブル代表コーギーの被毛を比べてみよう。プードルは主毛も副毛も細く柔らかい。毛色が淡く見えるのもそのため。コーギーは主毛と副毛の差がはっきりしていて、色も濃く見える。毛穴の数は犬種差が少ないが、毛の本数や太さには違いがある。

 

もっと知りたい!プー毛雑学

プードルの毛

■レッドなどの退色は毛が細くなるから淡く見える

何らかの刺激で毛乳頭が傷つくと、毛が細く柔らかくなる。太い毛より細い毛の方が淡い色に見えるので、退色したように感じるのかも。治療とケアで戻ることもある。

 
■老化や乾燥で毛の巻き方や毛質が変化する

高齢になると皮膚が衰えて、毛の巻きがゆるくなる、張りがなくなる、乾燥する、などの変化があることも。特に毛が薄い下腹部は、脂の腺がある毛穴が少なく、乾燥しやすい。ツバキ油、馬油、犬用コンディショナーを地肌につかないように塗って、毛をコーティングしてもよい。より良い生活習慣を取り入れて、プードルの毛を美しく健康に保とう。トラブルの予防にもなる。

 
■ブラックは紫外線を吸収しやすく脂の腺が多い?

ブラックは他の毛色に比べてにおいがあるよう。黒は紫外線を吸収するので、熱がこもりやすい。その結果、汗をかいて皮膚のpHが上がり、細菌が増えてにおいがするのかも。脂の腺が発達しているとも推測できる。

プードルの毛
 
■ホワイトやブラックは毛色のトラブルが少ない

ホワイトやブラックのようにはっきりした毛色はトラブルが少ないように思われる。変わった毛色は、改良によって毛の色素の分布がまばらになってしまうせいかもしれない。

 
■シルバーの変化は毛をカットした断面の違いかも

シルバーは生涯に渡って毛色が変化するとか。もしかしたら、毛が先端から根本までグラデーションになっているのかもしれない。1本ずつグラデーションが違うとすれば、カットしたときの断面で異なる毛色が現れる。もしくは、副毛は色が淡いので、寒い時期などに増えれば、全体的に淡くなったように見えるのではないだろうか。

 
■犬は全身で汗をかなりかく

犬は汗をあまりかかないといわれているが、実はかなりかく。汗を出す汗腺は2種類あり、さらさらのエクリン腺と、分泌物を含んでべたつきやすいアポクリン腺。エクリン腺のあるところは、人が全身で犬は足裏。アポクリン腺があるところは、人が腋などで犬が全身。人と犬は逆。暑い日や肥満の犬は全身のアポクリン腺から汗をかくので、べたつきが強くなったように感じるはず。

 

いい毛を育てるための対策

プードルの毛

■食習慣

被毛に良い食べ物は、必須脂肪酸と良質なたんぱく質。必須脂肪酸はドッグフードにも含まれているが、傷みやすいことが難点。小袋を購入した方が鮮度を保てる。大袋は密封容器に小分けにして冷暗所で保管する。良質なたんぱく質として、鶏ささみや卵を主食の10%程度与えてもよい。

 
■炭酸泉・マイクロバブル

炭酸泉は二酸化炭素が溶けたスパやシャワー。血流を良くする効果があるので、特に高齢の犬は定期的に利用してもよいかもしれない。マイクロバブルは細かい気泡を発生させたスパやシャワー。毛穴の汚れが取れるといわれている。脂が毛穴に詰まりやすい犬や、フケが出やすい犬にはよさそう。

 
■散歩

犬は日照と気温の変化を感じてホルモンを分泌し、ヘアサイクルを良く保つ。室内犬は変化を感じる機会が少なく、ヘアサイクルが乱れがち。日照と気温の変化を感じられるように、毎日の散歩を習慣にしよう。朝の光を浴びれば日周期(一昼夜の生活リズム)も整う。人にもおすすめの習慣だ。

 

プードルは手間と時間が必要な犬種

プードルの毛

被毛トラブルを解決する過程ではケアが重要。

毛が絡まるだけで通気性が悪くなり、地肌が蒸れてトラブルが起きてしまう。予防にはブラッシングが必要。スリッカーで毛先をフワフワさせるだけではダメ! 地肌の蒸れは解消されない。コームを使って丁寧にとかせば、地肌のマッサージにもなる。

また、皮膚疾患に対して、かゆみ止めや抗生物質の薬で治すことよりもケアで改善することが重要視されている。内分泌疾患も治療に加え、家庭の習慣とお手入れの改善が欠かせない。

プードルは飼い主の努力が不可欠な犬種。トリミングのお金よりも、飼い主の手間と時間をかけるべきだ。たまに行くサロンの炭酸泉やマイクロバブルより、毎日のブラッシングとマッサージの方が効果的。毛乳頭を刺激すると働きが活発になり、毛の成長を促すことが明らか。人の髪を健康に保つために頭皮マッサージが良いのと同じで、犬の被毛と皮膚も毎日のケアをおすすめしたい。

美しく健康なプー毛は一日にして成らず。病気の場合は早期発見で適切な治療を。飼い主の努力と愛情で、発毛・育毛プロジェクトを成功させよう!

 
関連記事:
早期発見・治療で被毛を守る!プードルの毛に関する病気や不調
柴犬の抜け毛を100%退治!嫌がらないブラッシングのコツとブラシの選び方
 
人気のキーワード:
#しつけ #ごはん #シニア犬 #健康管理
#性格 #散歩 #気持ち #病気 #おでかけ
#ケア #子犬 #性別
 
プードルスタイル vol.15『うすい、抜ける、色が変わる……お悩みいろいろ プー毛発毛・育毛プロジェクト』より抜粋
※掲載されている写真はすべてイメージです。

-プードル
-,