犬びより

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どんな犬も癌になる可能性がある。増加する悪性腫瘍、その原因は?

2018/11/09

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犬は7~8歳になる頃から、悪性腫瘍ができる確立が急に高くなる。ガンの種類や原因はさまざまで、どの犬の飼い主も人ごとではない。早期発見のコツや治療法を知っておこう。

 

悪性腫瘍とは

体の各組織が新陳代謝をして新しい細胞を交換する中で、新しい組織が異常な増殖をしてできたものを腫瘍という。周囲の正常な組織を侵すことのない良性腫瘍に対し、悪性腫瘍は周囲に侵入する他、血液やリンパ管を通して体内の他の組織やリンパ節に転移することも。体のあちこちで増大することで、犬の命をおびやかす。ガンという言葉は、ほぼ悪性腫瘍と同意として使われている。ここでは悪性腫瘍=ガンと表記する。

 

現代を生きる犬はガンにかかりやすい宿命

このことにはさまざまな理由があるが、そのひとつは平均寿命の伸び。犬は7~8歳からガンにかかりやすくなる傾向にある。したがって、長生きする犬が増えれば、ガンの犬も増えるというわけだ。

2つ目の理由が、犬種的な体質の偏りができてしまったこと。これはひとつの犬種が流行することによってむやみに繁殖され、体の弱い犬が増えたことが原因だ。実際、ガンになった犬の家系をさかのぼっていくと、同じ先祖にたどりついてしまうことも多い。

そして3つ目の理由が、生活環境の変化だ。これは主に食事、土壌汚染などがあげられる。食事については、市販のフードやオヤツが普及したが、中には発がん性物質の入った、質の悪い製品もある。

また土壌汚染については、犬は散歩の際にはだしで歩いたり、地面のニオイをかいだりすることから、発ガン性物質が、肉球、あるいは鼻や口から侵入する可能性があるのだ。

 

柴犬のガンは比較的少ないが…

柴犬は他の犬種と比べて、ガンになる率が低い。この理由には、大きく分けて2つのことが考えられる。

ひとつは、日本原産の犬なので、この国の風土で生きることに関して、ストレスが少ないということ。例えば、日本人はもともと菜食だったが、外国文化の影響で牛肉を食べるようになってから、大腸ガンが急増した事実があるように、環境に対して受けるストレス(刺激)が多いこともガンの原因になる。なので、もともと祖先が生きてきた環境ではストレスを受けにくく、ガンにもなりにくいといえる。

2つ目は、過度に流行った歴史がないため、繁殖が乱れていないということ。ただし、繁殖家が、特定の病気を出さないように繁殖してきた犬たちも、素人が遺伝病も調べずに繁殖してしまえば、病気にかかってしまう可能性はもちろん増えてくる。

このように、柴犬がガンになりにくい理由はあるものの、決してならないわけではないので注意しよう。

柴犬も現代に生きる犬。当然、長寿になってきているし、汚染された土壌に遭遇する危険性もあり、ガンになる可能性はある。したがって、どんな元気な犬の飼い主も油断せずにガンに関する知識をたくわえておこう。

 

ガンの原因は様々

ご存じの通り、ガンは発見が遅ければ死に至る病気。だが、早めに発見さえすれば、進行をなるべく遅らせるように治療しながらうまくつきあっていくことや、病状が軽ければ手術などで完治させることも可能だ。

しかし、確実なガンの予防法というのはないのが現状だ。

ガンは外部から何か病原菌のようなものが侵入してできるものではなく、自分の体の中の細胞が変化して増殖する病気である。たとえば紫外線を過度に浴びた刺激で皮膚ガンになるとか、質の悪い食べ物を食べ続けて胃に刺激が与えられたために胃ガンになるとか、かじっていたものが歯茎を刺激して歯肉腫になるなど、何らかの刺激によって引き起こされるものだが、原因はさまざまあるので、健康に気をつけていてもなる時にはなってしまう。

だから、ガンで愛犬を苦しませないためには、飼い主が早期発見につとめることが重要なポイントとなる。

 

ガンの最初の症状は分かりにくい

「早期発見が第一」とはいうものの、ガンは初期段階では痛みやかゆみなどの症状が出ないないため、飼い主が日頃から気をつけていないと発見するのは難しい。

ガンは他の場所に転移したり大きくなってから初めて、各所を圧迫したり、痛みを引き起こす物質が出て来たりする影響から、症状が現れる。が、こうした症状はよほど進行してからでないと目立って来ないのだ。

このため、飼い主は日常的に犬の体や行動の様子をチェックして、変化が見られたら早めに動物病院で診察を受けることが重要だ。この時、ささいな変化だと「とりあえず様子をみておこう」ということにもなりがちだが、油断してはいけない。

特に、体表に現れたおできは、ただのニキビのように見えてもガンの可能性があるので、できればすぐ動物病院で診てもらうことが重要である。たとえ1~2センチのおできでも、すでに転移しているガンであるケースも少なくない。また発見したおでき自体が、すでに転移したものであるという場合も。後で「あの時に診察を受けていれば……」と後悔しないためにも、できるだけ早めの診断を受けるに越したことはないのだ。

すぐに動物病院に行けないなら、必ず1ヶ月以内に、おできが増えたり大きくなっていないかをチェックし、そのような変化が見られたら、早めに診察を受けるようにしよう。

 

犬がかかりやすいガン

悪性リンパ腫
リンパ節やリンパ器官の中で、白血球の一種であるリンパ球がガン化する。犬のガンの二割程度が このガンである。治療は抗がん剤の投与が一般的。

 
乳腺腫瘍
高齢のメス犬がかかりやすい。犬のガンの50%が乳腺腫瘍といわれている。避妊手術を受けていない犬は、受けた犬の7倍かかりやすいというデータも。

 
皮膚のガン
肛門周りや耳の中、鼻腔、直腸などにでき、急激に大きくなる腺ガン、胸、お腹、足、わきの下の脂肪組織が増殖する脂肪腫、耳たぶや鼻の先端、爪の根元、口の中などにできる扁平上皮ガンなどがある。

 

柴犬がかかりやすいガンもある

柴犬がかかりやすいガンというのは特に傾向がない(ただし犬の雑種は、メラノーマ=悪性黒腫にかかりやすい)。が、遺伝によってかかりやすいガンはあるので、犬の親兄妹の病歴がわかればその部分を重点的にボディチェックするとか、獣医師に伝えて診てもらうといいだろう。

また前立腺ガンや睾丸ガン、子宮ガン、乳ガンなど、性別によってかかりやすいガンもある。特に避妊・去勢手術をしていない犬の場合は、こうしたガンにかかるリスクが大きくなるので、犬が手術に耐えられるほどの体力のある若いうちなら手術を行うことで予防するのも一つの方法だ。

 
 
Shi‐Ba vol.54『どんな犬も、ガンになる可能性はある 悪性腫瘍を見逃すな!』より抜粋
※掲載されている写真はすべてイメージです。