日本犬は成長と共に活動性が低くなり、寝ている時間が多くなりがち。また、排泄など健康上の問題も。生活リズムを工夫してあげよう
1.日本犬は無駄と思うことをしなくなる
2.生活リズムの工夫
3.空腹より排泄を我慢する方が健康上問題になる
4.1週間単位で散歩のスケジュールを組む
5.気候や環境に合わせて散歩を考える
6.まとめ
日本犬は無駄と思うことをしなくなる
野生動物はいざという時に備えて活動エネルギーを温存する。日本犬はその習性を比較的強く受け継いでおり、成犬になった3歳頃から活動が減っていく。
家庭犬でいる限り、野生のような「いざという時」は来ないのだが、習性として身についているものだ。
活動性が低くなると飼い主とのコミュニケーションや楽しみが減り、心身が衰えてしまう。いつまでも若々しく健康でいられるように生活リズムを工夫しよう。
生活リズムの工夫
1.生活にメリハリを作る
日本犬の場合、犬がいきいきと活動する時間は散歩だけ、という生活になりがち。散歩に出かけない時にも動と静のリズムをつくり、メリハリのついた生活を心がけよう。それがいつまでも若々しく過ごさせる秘訣だ。
【静】落ち着いて過ごす
互いに離れる(交流しない)時間も意識的に作る。飼い主と楽しんだら休憩、という習慣もつけられる。
【動】一緒に活動する
散歩の時間に加え、自宅でもコミュニケーションを図る習慣をつけること。飼い主と一緒に体を動かして遊ぼう。
2.健康に配慮する
犬の健康に配慮した生活リズムを整えることも大切な習慣だ。特に日本犬は室内で排泄しない犬が多く、極限まで我慢してしまうので泌尿器系の病気が心配。食後の飲水量と排泄のタイミングに要注意。
後述を参考に、ご家庭に合わせて考えよう。だが、室内でも屋内でも居住スペースで排泄できるなら、タイミングは犬に任せてもよい。
■排泄
長時間オシッコを我慢させないように、留守にする前や帰った後、就寝前には排泄させて膀胱を空にすること。
■ゴハン
朝1日量を取り分け、散歩、しつけ、遊びのごほうびとして少しずつ与えよう。
■散歩
単調にならないように、歩く、走る、遊ぶなどの変化をつけて楽しもう。ごほうび用に食べ物(小分けにしたゴハンなど)を持ち歩こう。
■コミュニケーション
新しい遊びや家のでのしつけ、くつろぎの時間などに。食べ物(小分けにしたゴハン)をごほうびとして活用しよう。
空腹より排泄を我慢する方が健康上問題になる
犬は野生動物とは異なり、飼い主に合わせて生活リズムを整える適応力を備えている。自主的に可能な睡眠については、多少不規則になっても問題はないが、排泄のタイミングには配慮が必要だ。
日本犬の生活リズムの中で、排泄のタイミングには最も注意が必要。オシッコの我慢は健康上問題になる。とはいえ、飲水を制限するのもよくない。
上記では、ゴハンをごほうびとして与えることを提案している。コミュニケーションを図る時間が作れることに加え、排泄と飲水量をコントロールする目的もある。ゴハンを一気に食べれば水をたくさん飲みたくなり、排泄の頻度も多くなる。心身の健康に配慮した生活リズムを心がけよう。
もし留守番の時間が長くなる場合は、どのような生活リズムにすればよいのだろうか。急な冠婚葬祭などで終日留守にする場合、健康な犬であれば出かける前にゴハンを与えず絶食させよう。ゴハンを食べなければ飲水量もそれほど多くならないので、膀胱にオシッコがたまらずに済む。絶食はかわいそうな気がするが、健康な犬は1~2日食べなくても問題ない。
空腹より排泄を我慢する方が害は大きいので、急な留守の時限定の措置として覚えておこう。
事前に留守にすることがわかっていれば、動物病院やペットホテルに預けた方が安心だ。
1週間単位で散歩のスケジュールを組む
毎日同じ時間に同じコース、という散歩の習慣を作ってしまうと、保守的な傾向の高い日本犬は変化がストレスになることもある。
平日は家事や仕事に合わせて時間帯がある程度同じでもよいが、散歩コースはなるべく変えること。また、休日には時間やコースに変化をつけよう。
多忙で散歩が短くなった場合は、翌日にたっぷり行くなど、1週間単位で帳尻を合わせれば問題ない。悪天候の日が続く場合は遊びなどを工夫して退屈を防ごう。
▼時には長時間散歩を楽しむ
短時間の散歩が続いた後は、コースやメニューを工夫して思い切りを楽しむこと。
▼頭を使うゲームをする
散歩に行けない時や家族が忙しい時は知育オモチャなどを活用して犬に頭を使いながら食事をさせる。
▼退屈させない工夫をしよう
悪天候で散歩に行かれない日は、犬が退屈しないように新しいことを教えるなど、変化を心がけよう。
▼忙しいときは無理せずOK
家族が忙しい場合、無理せず時には短時間の散歩でも良い。数日後に帳尻を合わせるつもりで予定を組もう。
気候や環境に合わせて散歩を考える
健康に配慮した習慣を身につけさせると共に、快適に暮らせるよう気候や環境に合わせてスケジュールを組もう。
1.生活環境
室内飼育の場合、広い部屋でたっぷり運動をさせられるとしても、散歩などで外の環境に触れさせ、知的な刺激を与えることが必要だ。散歩の時間を多くとるように努めよう。
屋外飼育の場合、日本犬のような自立性の高い犬は、自分の世界を自分の時間で過ごすようになりがち。飼い主は積極的に外へ出て、コミュニケーションを図ること。犬の生活に活動と休息のメリハリを作ることも大切だ。
また、広い庭で放し飼いにしていても、自宅以外の場所を歩く知的刺激は必要。体の健康と心の健康のために、飼い主に無理のない範囲でたっぷり散歩に行ってあげたい。
2.散歩コース
散歩コースは近所を一周が定番、にならないようにしたい。決まったコースでは知的刺激が得られず、近所を歩くだけでは運動量も不足してしまう。
犬は満足しているように見えるかもしれないが、それは無駄なことをしない日本犬の特性。散歩コースを工夫してあげることは大切だ。
近所、公園、野原など、さまざまな場所に出かけ、犬と楽しもう。自由時間を設けることも大切だ。
3.天候
台風などの悪天候の日は、無理に散歩に行かなくてもよい。小雨程度であれば出かけてもよいが、短時間でも十分。天候が回復した後に帳尻を合わせよう。
日本犬の飼い主は律儀なので、悪天候の日でも同じように散歩に出かける人が多い。
しかし、日本犬は濡れることやレインコートを嫌がる犬もいるので、悪天候の日は排泄させるだけでも十分だ。
4.季節
真夏の日中の散歩は熱中症の危険があるので避けること。夕方でもかなり暑いことがあるので、早く切り上げた方がよいかもしれない。
特にアスファルトは冷えるまでに時間がかかるので要注意。真冬は時間帯を気にする必要はないが、日中の方が飼い主は楽だろう。
家庭の生活リズムに合わせて決めよう。それ以外の季節は時に意識しなくてもよい。
まとめ
生活リズムを考える場合、まずは健康に配慮することが第一。この記事を参考に、排泄のタイミングには特に注意してほしい。
加えて日本犬の特性を考え、コミュニケーションや散歩の工夫をしよう。
犬は飼い主さんの生活リズムになんとなく合わせてくれるもの。飼い主さんも犬がくつろいでいる時には接触を控え、犬の生活リズムを尊重してあげることが大事。
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Shi‐Ba vol.83『日本犬ならではのしつけ法、はじめました。毎日をいきいきと過ごすための習慣』より抜粋
※掲載されている写真はすべてイメージです。