番犬として世の役に立ってきた柴犬。果たして現代の柴犬には、縄張り意識が残っているのだろうか?
柴犬と縄張り意識について
柴犬は警戒心が強く、その特性が利用され、番犬として人間と共に生きてきた。知らない、または怪しいと感じる物や人に対して警戒してしまう犬が多い犬種。これは、縄張りというよりも、パーソナルスペースが他の犬よりも広いといえる。
その特性に由来する警戒からくる吠えや、噛む行動に悩まされている飼い主も多いはずだ。また、日本犬が元来持っている性格、「新しいものを受け入れにくい」というのも理由の一つ。いろいろ改善方法はあるのだが、ここでは根本を改善する方法を紹介しよう。
効果的なのは、社会化。これができていないと、恐怖心から、人が近づいてくると、過剰に反応してしまうようになり、結果的に追い出す行動をとってしまうことになる。
まず、社会化とは何か?それは、「犬が暮らしている人間社会で起こりうることに慣れていくこと」である。人間の世界は、人間用に作られたものだ。人にはどうってないことも、犬には恐怖と感じるものはたくさんある。
電車の音、飛行機の音、人ごみ、などなど。出来るだけいろんな場所へ連れて行き、様々な経験を積ませてあげよう。
だけど、怖がっている犬を無理矢理に近づけるのはだめ。ゆっくり近づいて匂いを嗅ごうとしている犬を強引に誘導するのもよくない。その対象に対して恐怖心が上がる可能性があるからだ。
もし愛犬が何か怖いものに遭遇した時、必要以上にさわがないのも重要だ。飼い主もとりみだすと「やっぱ、これ怖いものなんだ!」とさらに恐怖が助長される。
犬の社会化期は生後8ヶ月までといわれている。その時期は、何に対しても好奇心があるので、その時期に様々な場所へ連れて行ったり、人と会わせたりしておくのが理想。
だが、成犬になってからの社会化ももちろん可能だ。初めてのものを見た時、苦手なものを見た時、聞いたことのない音と出会った時、すぐにオヤツをあげる。それを続けていくことで、その対象への恐怖心は減少してゆく。
そうすることで、周囲で起こることへの許容範囲、対応能力や順応力もあがるのだ。人が自分の近くへ近づいてきた時の恐怖心や警戒心の減少に繋がり、来客に吠えたり、噛む行動も改善されるはず。すでに怖いものが多い犬の場合、社会化だけではなく、その怖いものが近づいても大丈夫なものと教えてゆく必要がある。
例えば散歩中にある赤いコーンが怖い場合、怖がらない距離まで近づけて落ち着いていたらごほうび、そしてまた次の日、もう少し近づいてみて落ち着いていたらごほうび、と徐々に慣らしていく方法。
怖いものを減らせば自信が付き、人が近づいてきた時の問題行動も改善されていく。他人が怖い犬の場合は、改善するのは大変難しい。専門家にお願いしよう。
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柴犬に警戒されたらどんな行動をとればいい?
以下は、犬が他者に近づかれた時に警戒心を表す行動。犬は基本的に、突然噛むことはない。この順序に従って、警告を強めてゆく。
1.後ろに下がり距離をとる
2.相手を見つめる。目を離さない
3.吠える、唸るなど、
4.それ以上こないで! と知らせる
5.それでも近づいてくるならとびかかる。噛む可能性も。
以上の行動は小さくでることもあり、人が気づかないことも多々ある。そして、その警告を見逃してしまい、近づこうとするとがぶっと噛まれてしまうことが。
よく観察して警戒されていると感じたら、近づかないようにしてあげよう。
縄張りというよりも近づいてほしくない感覚
現代の柴犬には、絶対領域とまでいえるような、縄張り意識はないだろう。場所を守るというよりも、自分が危害を与えられると感じたら、吠えたり場所を守るような行動に出る。
我々人間も、誰かしらない人が自分の敷地に入ってきたり、近づいてきたら不審に思うだろう。場合によっては追い返す。犬もそれと同じような感覚。
入ってきてほしくはないが、命をかけて追い返すほどでもない、とまあそんな感じである。縄張り意識というよりも、パーソナルスペースに近い。
こういう感覚があるのは、問題ではない。誰でもあること。ただ、警戒心が強すぎるのはだめだ。誰かがそこに近づくと吠えたり、飛びついたり、場合によっては噛んでしまうことがあっては困る。
社会化を行い、「基本の対応能力」をあげてあげる。それが、大切。
侵入者に警戒することは一種の防衛本能。特に日本犬はそういった傾向が強い犬種ではある。ある程度は仕方ないことと、捉えてあげて、上手く付き合ってあげよう。
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Shi‐Ba vol.92『現代柴犬の縄張り意識を探る 日本犬的 絶対領域!』より抜粋
※掲載されている写真はすべてイメージです。