今回のマニアテーマは「牛肉」! 他の肉に比べて多少お値段が張るけど、それ以外の特徴とは……?
1.牛肉の収縮 オモシロ実験
2.肉の違いを知り肉マスターになろう
3.大きい動物ほど体を支える筋肉は硬くなる!?
4.肉に含まれる脂肪酸の種類
5.牛肉の部位の違いを理解しよう
6.消化しやすい牛肉の与え方
7.もっと詳しく牛肉のことを知ろう!
牛肉の収縮 オモシロ実験
一般的な加熱調理、「茹でる」「焼く」で、牛肉、豚肉、鶏肉の収縮率を“重さの変化”と“見た目の大きさ”で比較してみよう!
【実験方法】
和牛、輸入牛、豚、鶏肉のそれぞれモモ25g(肉の厚さ約1㎝)に統一。
▼茹でる(100度)
沸騰したお湯で(1)5分、(2)10分、(3)15分茹でる。時間ごとに取り出して重量を測定。
□和牛
(1)19g→(2)17g→(3)15g
□輸入牛
(1)16g→(2)14g→(3)12g
□鶏
(1)22g→(2)17g→(3)15g
□豚
(1)20g→(2)17g→(3)15g
▼焼く(200度)
熱したテフロン加工のフライパンで両面で5分焼く。脂肪や水分を軽く拭き取り重量。
□和牛
25g→15g
□輸入牛
25g→14g
□鶏
25g→18g
□豚
25g→13g
【結論と考察】
予測と異なる結果に……ただ?
肉の硬さを左右するのはたんぱく質と脂肪。
そのため加熱により脂肪が溶けだした量が多い方が、加熱調理後の重量が減るのではないかと考えていたが、牛の脂肪は豚や鶏の脂肪と比べて溶けるには、時間がかかりそう。
コラーゲン繊維も厚く丈夫なため、短時間調理では収縮して硬くなるだけのようだ。ビーフシチューの肉をほろほろにするために、長時間調理をしなければならない理由に納得。
フライパン調理では、鶏肉が一気に縮んだが、これは豚肉、牛肉に比べて水分が多く、コラーゲン繊維や脂肪が少ないからだろう。
肉汁の損失を少なく、肉を柔らかく調理するには低温で長時間調理がよいようである。
肉の違いを知り肉マスターになろう
牛肉は、鶏肉や豚肉同様に犬にとって消化吸収性の高いたんぱく質源。
オヤツや手作り食に利用できる一方で、鶏肉や豚肉とは異なる特徴があるため、与える量や与え方を理解しておくことが大切。
加熱調理で収縮するため、他の肉が生肉と加熱後の肉で与えて良い重さが異なるように、牛肉も生肉の重さを計量してから調理しよう。
さらに牛肉は鶏肉や豚肉よりも消化に時間もかかるので、少なめに与えるのがポイント。理由には、コラーゲン繊維が関係している。
大きい動物ほど体を支える筋肉は硬くなる!?
体の骨格を支える骨格筋は、筋繊維の束のような構造をしており、コラーゲン繊維でできた膜に包まれている。
体が大きな動物ほどそのコラーゲン繊維が厚く丈夫で、肉の硬さにつながるため、牛・豚・鶏の順で硬くなる。
また、加熱調理により肉中の水分量が減り、コラーゲンが収縮し、たんぱく質が固まることも肉の硬さに影響を与える。
和牛は「さし」と呼ばれる脂肪組織が入った、いわゆる「霜降り肉」で、加熱調理時に硬い食感になりにくいのが特徴。
輸入牛は「さし」を入れないため、赤身が多くより固い食感に。
脂肪が多ければその分筋肉に含まれるたんぱく質が少ないため、肉の収縮率も低くなる。
ただし脂肪が多い肉も硬い肉も消化には時間がかかるため、食べ慣れていない場合、一度に多くを与えない方が良いだろう。
肉に含まれる脂肪酸の種類
飽和脂肪酸・・・・常温では液体なため見た目にはわからない脂肪酸。
不飽和脂肪酸・・・融点が高い脂肪。常温では白い固体なのが特徴。
どの肉も両方の脂肪酸で構成されるが、牛肉は飽和脂肪酸、鶏肉は不飽和脂肪酸が多い(豚肉はその中間といった脂肪酸構成)。
それぞれの融点は牛肉40~50度、豚肉33~46度、鶏肉30~32度。体温より融点が高い肉の場合、体内で溶けにくいため消化吸収しにくい性質がある。
一方でエネルギーになりやすいので与えすぎないことがポイント。
また、同量あたりの肉の比較でわかるように牛肉は赤身であっても脂肪の含有量が多く、その分高カロリー。肥満、消化不良、軟便などにならないように分量を守って利用しよう。
牛肉の部位の違いを理解しよう
豚肉や牛肉に比べて部位の多い牛肉だが、一般的なスーパーで販売されている部位についてその違いを理解しよう。
□ヒレ
脊髄内側に付着している細長い筋肉。運動にほとんど使われない筋肉なので、肉のきめ細かく、脂肪が少なく、最も軟らかい部位。1頭の牛肉から3%程度しか取れないので、最高級部位。
□サーロイン
脂肪が少なく、肉質が良く、軟らかで風味も良い。リブロースほどではないが霜降りが入りやすい。
□リブロース
背肉の部分。サーロインと並んで牛肉の最上質の部位。肉のきめが細かく、風味がよく、しかも非常に軟らかい。霜降りが入りやすいステーキ用にも使用できるので経済的価値の高い部位。
□肩ロース
やや筋っぽいが、脂肪は多めなので肉は柔らかい。
□肩
運動する時によく動くので筋や膜が多く、肉色は濃い。固い部分とそうではない部分が混じっているがうまみは多い。
□モモ
脂肪が多い部分は肉のきめは細かく軟らかい。脂肪が少ない部分は赤身肉が多く部位により軟らかさが異なる。よく動く「外モモ」は筋繊維が多いためたんぱく質が豊富で脂肪が少ないが、硬く弾力性に富んでいる。
▼部位別カロリーと1日に与えても良い分量の目安
肩赤肉(和牛)
カロリー・・・143kcal/100g
目安量・・・・35g
リブロース赤肉
カロリー・・・248kcal/100g
目安量・・・・20g
サーロイン
カロリー・・・177kcal/100g
目安量・・・・30g
ヒレ
カロリー・・・185kcal/100g
目安量・・・・30g
モモ赤肉
カロリー・・・140kcal/100g
目安量・・・・35g
犬は脂肪の多い部分を好むが、肥満や軟便などの原因にもなるので基本は「赤肉」を使用しよう。
目安量はドッグフードを主食としている、活動量が適度な成犬(体重10kg)で、オヤツのトッピングとして与えられる分量の上限。
あげた日は、その分ドライフードを減らしてエネルギーの調整を行うこと。
消化しやすい牛肉の与え方
犬に与えたいのは赤肉の部分だが、脂肪が少ない分肉が硬いのが難点。犬は飲み込む食性なので固い肉は消化に時間がかかる。それを解決する方法を2点紹介!
1.マリネする
酢、ヨーグルト、すりおろしショウガなどで20分程度マリネしてそのままさっと茹でる。これらの食材に含まれる消化酵素がコラーゲンの結合を緩くしてくれる。
2.ひき肉にする
ひき肉にすることで筋繊維が切断され、また短時間で加熱が可能に。包丁で細かく叩いたりしたあと、少量の水を加えて肉をほぐしてから水分が飛ぶ程度に炒め煮にして使用。
もっと詳しく牛肉のことを知ろう!
牛肉についてのちょっとした豆知識や、上で紹介した以外の部位についても知っておきたい。
Q.スジや牛タンもあげていい?
A.調理方法を工夫すれば与えてOKな部位もある
牛のアキレス腱またはその腱のついた肉を「牛スジ」と呼ぶ。食品成分表では茹でた牛スジが100gで155kcal、たんぱく質28.3g、脂質4.9gと表示されている。
つまり輸入牛の赤肉のような栄養組成ということになる。下処理や長時間加熱をしてトロトロにしたものをオヤツやトッピングであげることもできるが、赤肉よりは消化吸収率は低いことが考えられるので主食の食材としては不向き。
牛タンは100gあたり生で、たんぱく質15.2g、脂質21.7gと高脂肪で硬いため消化には悪いようだ。
Q.牛肉の「切りおとし」はどこの部位?
A.モモか肩の場合が多い
食肉加工の過程で出た、半端な肉をスライスしたものが「切りおとし肉」。モモか肩の場合が多く、部位を示してあるものはその部位だけだが、記載がない場合はいろいろと混じっている。ただし「こま切れ肉」よりは部位の種類は少ないようだ。
Q.牛肉の赤い色は血液の色?
A.赤い色は血ではなく筋肉の色
食肉の赤い色は血液ではなく筋肉の色。筋肉には赤筋と白筋があり、赤筋はゆっくりな動きを支えるために、白筋は早い動きに対応する役割がある。
牛肉には赤筋の割合が多く、そこに貯蔵されているミオグロビンという色素たんぱく質の色が赤い。
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Shi‐Ba vol.101『なんでもクソ真面目&マニアックに大研究シリーズ 高価な部位は飼い主が食べたい!? 牛肉便利手帖』より抜粋
※掲載されている写真はすべてイメージです。