世話がやける存在なのに、笑顔で周囲をメロメロにする赤ちゃん。でもこれって愛犬と同じ!? しかも犬は案外、確信犯&知能犯で、ある意味「プロ」。そんな愛犬を「プロ赤ちゃん」と命名だ!
1.柴犬の赤ちゃん的生態
2.大人を意のままに操る柴犬
3.タイミングを見計らい飼い主を操作
4.実験!犬も赤ちゃんグッズが好き?
5.プロ赤ちゃん攻略法
6.一生赤ちゃんの愛犬を精一杯可愛がろう!
柴犬の赤ちゃん的生態
1.何でも口に入れたがる
世の中にデビューしたばかりの新参者。そのため赤ちゃんも柴犬も好奇心は旺盛だ。いいニオイがしたり、形が不思議だったりする物は、口に入れて確かめたくなってしまう性分。やっぱり舐めなきゃ物の本質がわからない……というわけで、柴犬もオモチャを口に入れ、やりたい放題。中には家具を口に入れて(かじって?)ボロボロにしてしまうツワモノもいるようだ。
2.すぐに飽きる
笑ったかと思えば、急に泣き出すなど、天気のようにコロコロ変わる赤ちゃんの表情。つまりすぐに飽きる。そして柴犬の飽きっぽさは天下一品。自分からボール遊びに誘っておきながら、3回キャッチボールしたらハイ、終了~!どんだけマイペースなんだ。
3.私物化の鬼
ママを独り占めしたり、手に取った物を次々口にしたり。変な物に興味を持ってヨダレでダラダラにしてしまうことも、赤ちゃんには少なくはない。気がつくと家族の持ち物を私物化していることも……。柴犬も気がついたらパパのスリッパをケージに入れたり、ヨダレでネロネロにしていたり。つまり案外独占欲が強いのである。「柴の物は柴の物。お前の物は柴の物」。まさにジャイア●・スピリッツの持ち主!
4.突然ハイになる
赤ちゃんの行動は予測不可能。突然火がついたように泣き出してしまうこともある。しかし、その不満や希望を言葉で伝えてくれないからこちらはどうしていいか、オロオロドキドキしてしまう。そして柴犬も赤ちゃん同様、突然ハイになって走り出したり、ぴょんぴょんしたり、スイッチが入ることも少なくはない。頭の中にいくつも「?」が並ぶけど、だからこそ面白く、飽きないんだけどね。
5.寝てばかりいる
赤ちゃんの代表的な仕事といえば、「寝る」こと。ちなみに赤ちゃんの睡眠時間は1日あたり16時間前後、犬は約12~15時間といわれているので、ほぼ一緒。つまり1日の半分以上は寝ているという計算だ。うらやましいぞ! 寝ている間の赤ちゃん、そして柴犬の顔はまるで天使。ゴハンをあげたり、排泄物の始末をしたり、毎日の世話は楽ではないけれど、幸せそうな寝顔を見られればオールOK!
大人を意のままに操る柴犬
1.気に入らなければ鳴くか暴れる
自分の要求を飲んでほしいとき、度々飼い主をじっと見つめたり、甘えた声を出したりしてアピールする。しかし、時には「これ、演技じゃね?」と思えるような暴挙に出ることがある。いやな世話をされたとき、大きな声で鳴いたり、走り回ったりする姿は、まるでこの世の終わりのよう。過剰演技で飼い主を翻弄するのである。
2.上目遣いでじっとり見つめる
「散歩に行きたい」「遊んで欲しい」「肉を食わせろ」の要求は、上目遣いでするのが柴犬の常套手段! 目をウルウルさせ「お願いですから」と懇願の表情は、アカデミー賞受賞のアクター並。そのじっとり見つめる眼力には、スプーン曲げができてしまうかもしれないほどの念がこもっている。飼い主の姿をどこまでも目で追い、気づいてもらえないと「クゥ~ン」と甘えた声でかわいくアピールする手腕もさすがだ。
3.主役の座は譲らない
大体の柴犬は、その家の第一子か、末っ子として迎えられる。つまり赤ちゃんのようにチヤホヤされる存在だ。パパもママもお兄ちゃんもお姉ちゃんもみんなやさしくしてくれる。そんなワケで、ほとんどの柴犬は「自分はかわいい」と自覚しているのだ。そのかわいさを利用して、主役の座に君臨(しているつもり)。どんなワガママだって、甘えた態度で通そうとしているのだ。
タイミングを見計らい飼い主を操作
赤ちゃんの仕事といえば、主に泣くことと寝ること。行動は気まぐれで、何をしでかすかわからない。そのくせ笑ったり甘えたりして周囲を翻弄する。これってウチの愛犬と似ているかも?さらに赤ちゃんと犬の共通点を考えてみよう。
飼い犬と赤ちゃんには多くの共通点がある。どちらも愛らしく、家庭のアイドルとして突如メンバーに加わり、みんなの注目を集める中心的な存在でありながら未熟で弱く、そのため保護者の庇護の元でないと暮らしていけない。
また言葉の細かいニュアンスが通じず、コミュニケーションに齟齬が生まれやすい点も共通している。つまりかわいく、手がかかるプリミティブな存在。大人(犬なら飼い主)は、本能的に守ってあげようと、あれこれ世話をしたくなるのだ。
しかし愛犬は案外したたかで、自分がかわいがられていることを武器に家族を意のままに操る手口をわきまえている。賢い犬ほど飼い主の行動パターンをじっと見ていて、タイミングよく態度でアピールしてくる。ワガママはもちろん、食べたいオヤツを持っていれば欲しそうな目で凝視。また自分が家族のアイドル的存在だと自覚してなのか、「撫でろ」とか「抱っこしろ」とか甘えた要求を言葉でなく態度で示してくる。
犬は頭がよく、学習能力が高い生き物。個体差やしつけの仕方にもよるが、人間でいえば5~6歳くらいの知能を持っていると言われている。犬ってひょっとして人間の赤ちゃんよりも頭がいいのかも…? 無垢なように見えて案外したたかな柴犬に籠絡&翻弄されても仕方がないってワケ?
実験!犬も赤ちゃんグッズが好き?
ぬいぐるみ
目の色を変えて猛然と突進! かみついて離さず、ブンブン振り回し。しかもそこ首筋の急所っす……。キバ立てているし。絶命!?赤ちゃんというよりハンターの血が騒ぐようだ。
ガラガラ
マズルを近付けるなど、最初こそは興味を持っていたが、ガラガラの音が段々うざくなってきたらしく、顔を背けるように。下に置いて転がしてもよそ見。ガラガラの音は犬には騒音?
知育玩具
カチャカチャと玉を動かしていると、少しだけマズルを近付けるが、結局ニオイを嗅いで様子をうかがっただけ。後はひたすら無関心で、最後は大あくび。「コレ、ムズイです……」風。
プロ赤ちゃん攻略法
Q.犬を放っておくと考えられる悪影響は?
赤ちゃん化をしても、飼い主と犬がいい関係を築いているのなら問題ないが、中にはやたら飛びついたり、噛みついたり、その家庭内では許されても外へ出たら問題となる行動もある。犬は家庭内と外との線引きができないので、犬が人間社会で暮らす以上、飼い主は最低限の社会のマナーを教えるべき。
人間の場合、子は親以外の人や社会から様々なマナーを学び、親を反面教師として成長することだってできる。しかし犬はそうではない。犬の一生は飼い主にゆだねられていて、天寿を全うするまで飼い主の手を借りなければ生きていけない。飼い主に万が一のことがあった場合、社会性を学んでない犬の未来は不幸だ。犬の将来を見越して、正しいしつけをすることが大切。
Q.人を惑わす術を覚えた犬との関係性は修復できる?
やたらと抱っこをせがむ、しつこい要求吠えなど、犬が飼い主を懐柔するテクニックを覚えてしまったのは、経験による学習。なので結論としては、犬に学習させてしまった原因を見つけ、取り除けば関係性の修復は可能。
その方法は、1.犬の性格に原因があるのではなく、飼い主側の行動に非があったことを認め、2.犬の困った行動がいつから始まったかを思い返し、3.原因を見つけて、その行動を改めること。悪い習慣を長く続けてしまった犬ほど、行動のリセットに時間がかかる。
しかし、犬は賢い生き物だ。正しい方向に導けば必ずいい結果に繋がる。途中、間違っても、怒ったり体罰を加えたりせず、赤ちゃんに教えるように優しくしつけをすること。難しい場合は、行動修正のプロの力を借りるのも手。
Q.赤ちゃんのような突発行動、日本犬には多いもの?
個体差はあるが日本犬は、用心深い、思慮深い、テンションの上げ下げの幅が小さい犬種。そのため突発的な行動は少ない。
そもそも犬は本能で動く生き物。一見突発的に見える行動も、その裏には原因となる理由がかくされている。つまり犬の行動は予測できる。
Q.犬にも「赤ちゃん返り」や「イヤイヤ期」はあるの?
飼い主の関心が、自分より後にやってきた人間の赤ちゃんに移った場合、犬も人間の子供のように赤ちゃん返りを起こす。これは自分への愛情が減ったことに対する危機感から起こす行動。
また、融通があまり利かない日本犬は自我が強く、赤ちゃんのイヤイヤ期のように反抗的な態度をとることがある。
一生赤ちゃんの愛犬を精一杯可愛がろう!
犬も赤ちゃんと同様、保護者のリアクションを見て自分はどうすればいいのかを学ぶ。なので、もし飼い犬が吠えるなど困った行動をとるのなら、その原因は飼い主が作ってしまった場合がほとんど。吠えれば飼い主が反応してくれる(かまってくれる)ことを犬は学習している。
しかし犬は刹那的な生き物だ。意図的と見えるプロっぽい手口の行動も、決して飼い主を困らせようとわざとしているのではなく、経験による学習から手段として選びとっているだけ。
愛犬と赤ちゃんが大きく違う点もある。それは赤ちゃんでいる期間。赤ちゃんも犬も保護者の庇護の元でしか生きていけない。だが、赤ちゃんはやがて大人になり、数年もすれば自分のことは自分でできるようになる。しかし飼い犬は一生人間が守ってあげなければ生きていけない。つまり一生赤ちゃんなのだ。
犬は老いても飼い主を頼るしかない未熟な赤ちゃん。一生手がかかるからこそ、愛おしくもある。そんな愛犬にたらし込まれてみるのも一興。さぁて、今日も愛犬を思いっきり赤ちゃんかわいがりするとしますか~!
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Shi‐Ba vol.78『私はこうして柴犬にたらし込まれました。プロ赤ちゃん』より抜粋
※掲載されている写真はすべてイメージです。