愛犬の「遠い目」は、ネガティブな状況の時に表れる。この遠い目の厄介な点を挙げると、それは飼い主が結構この遠い目を好んでいること。愛犬があまり快適な状態ではないことがわかっていながらも、この目が見たくてついついそのような状況を作ってしまう。あなたもわざと「遠い目」をさせていないだろうか?
遠い目の事実
愛犬が遠い目をするということが、ストレスや逃避から来る行動であることは何となくわかる。でも、もう少しその真意を突っ込んでいこう。
犬が遠い目をする時というのは、いくつかのパターンに分けることができる。
まずは、生理的に眠たい時。眠いんだけどなかなか寝かせてもらえないといった状況の時に、遠い目をすることがある。
もうひとつ、自分にとってはちっとも楽しくない、好ましくないといった状況に遠い目をする。そのようなストレスがかかっているけれども、でもパニックになるほどのことでもないということを、今までの経験からわかっているから、じっとしてその場をやり過ごそうとしている。その時に表れるのが遠い目。犬もイヤなことをどのようにして乗り切るかということを学習しているというわけだ。
犬には「フリーズ(freeze=固まる)、フライト(flight=逃げる)、ファイト(fight=攻撃する)」という3つの回避行動がある。
このうちのフリーズが遠い目に当てはまる。現実逃避の行動で、そのうちにこの状況は終わる、ということを信じての行為。
逆にファイトの行為に出る犬もいて、具体的にはウーっと唸ったりして、楽しくない状況を打破しようとする。こちらのタイプの犬は自己主張が強いと言える。
そう考えると、フリーズ型の遠い目タイプの犬というのは、平和主義の気質の犬と言えるかもしれない。
これらのことから遠い目をすることを第一の選択肢にしている犬というのはいい犬、いい奴なのだ。ガウガウ言ったり、逃げてしまう犬よりも扱いやすく、性格がいいことが多いはず。
また、飼い主との関係も良好であることをも意味している。
遠い目をするということはストレスを感じての行為ではあるのだが、でもイヤなことをそのような方法でやり過ごしてくれるいい子たちのする行為でもあるのだ。
遠い目にはもうひとつ、気持ちを落ち着けるための、いわゆるクールダウンの意味で見せることもある。
食べ物を我慢している時、特にその犬にとって非常に好きな食べ物の場合は、それこそ本気で自分をクールダウンさせるために必死に遠い目をする。
このように好きなものを抑えている時は、目がだんだん細くなっていって、まばたきの数も増えてくる。そして、オスワリやフセの姿勢を選ぶ時が多い。
ある意味では、こちらのほうが犬にとっては気持ちも体も遠くにやらなければ、しのげないのかもしれない。
このように遠い目は、これまで考えていたほど悪いイメージのものではないことがわかった。
しかし、あまり遠い目ばかりさせないほうがいい。ほどほどにしておこう。
関連記事:
【柴犬流シカトの極意!】気づかないフリの真意に迫る!
本音はちょっと違う?無抵抗主義の柴犬たちにまつわるギモン
人気のキーワード:
#しつけ #ごはん #シニア犬 #健康管理
#性格 #散歩 #気持ち #病気 #おでかけ
#ケア #子犬 #性別
Shi‐Ba vol.39 『その視線の先は、何も見ていない 遠い目の主張』より抜粋
※掲載されている写真はすべてイメージです。