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【犬のけいれん】よく聞く病気だけど、実は正体不明!?てんかんって何だ?

2019/02/25

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普段から愛犬お様子をよく見ているつもりでも、見逃してしまいがちな病気のひとつに、てんかんがある。いったいどんな病気なのだろうか。また、てんかんと似た症状を出す病気についても知っておこう。

 

犬のこんな様子はてんかんの疑いが……

犬のてんかん

・いつもと歩き方が違う
・たまに吐き気が見られる
・けいれんがある
・今までやらない行動をするようになった
・歩く時にふらつく
・何でもないのによだれが出る

 

脳には異常がないのにけいれんを起こす病気

現時点では、てんかんという病気の全容が解明されていないので、どうして起こるのかははっきりわからないこともある。遺伝性のてんかんもあるが、それだけではない。

いつ発症するかもさまざまで、生後数ヶ月で起こる犬もいれば、5、6歳で初めて起こる犬もいる、

てんかんは脳波には異常がでても、血液検査やMRI検査では異常が見られない(ただし、超高精度のMRIでは検出できるようになった)のに、けいれん発作やなにかしらの行動異常が繰り返し起こる状態で、これを「真性てんかん」という。

一方、あきらかに脳の構造に異常がみられたり、内臓障害などにより、てんかんに似たような発作を起こすものは「てんかん様発作」といわれる。

てんかんの症状で有名なのは「強直性痙攣」。意識がなくなって体がこわばりよだれが出る、失禁や脱糞をするなどの、いわゆる“けいれん”である

しかし、ほんのわずか意識が遠のくだけの軽度のてんかんもあり、症状もさまざまである。

愛犬がブルブルとふるえている際、寒さや恐怖が原因とは限らない。

ふるえているように見えて、実はけいれんを起こしているケースも少なくない。ふるえとけいれんの違いは下記の通りだ。

 

ふるえとけいれんの違い

犬のてんかん

定義的にいうならば、脳波や筋肉の振動などを調べた時の違いになる。

区別するためには脳波検査が必要になる。脳波検査をした時に、振動する波の間隔のつまり具合が広いと「ふるえ」で、密となって波が高くなってくれば「けいれん」となる。

飼い主が見ただけで、単なるふるえなのか、それともけいれんを起こしているのか見分けがつきにくい。

 

犬のてんかんの症状

■全般発作

【主な症状】
・歯を食いしばる
・失禁、脱糞する
・口を開けたまま、舌を出して、
よだれを垂らしたり、泡を吹く
・体をのけぞらせ、
硬直するなど強直性けいれんを起こす

全身性に起こる発作であり、最初から意識がなくなる場合が多い。数分でおさまる場合が多いが、全身発作の状態が長く続くと重篤症状となり、命を落とす場合もある。

 
■焦点発作

【主な症状】
・吐き気がある
・何でもないのによだれが出る
・ふるえが出てしばらく固まる
・おなかがグリグリ鳴り、軟便になる
・一時的な行動異常がみられる
(歩き方の変化以外に、妙に甘える、逆に避けるなど)

以前は部分発作とも言われ、ある部分から発作が始まる。数秒から数分で治まる場合が多く、症状が軽いと見た目だけでは気づかないこともある。

 
▼発作は2つに分けられる

てんかんが気づかれにくい要因は、症状の多様さにもある。

てんかんの症状は上で紹介したように「全般発作」と「焦点発作」の2つに分けられる。

最初に紹介した「強直性痙攣」のような、いわゆる全身で起こるけいれん発作は「全般発作」となる。全般発作としてのけいれんは、起こったとしてもだいたいは数分以内で治まり、その後はいつもの状態に戻ってしまうことも多い。ただし、全般発作が長く続く場合もある。これを重積症状というが、普通なら数分で治まるけいれんが10分立っても続いてしまうと、命にかかわってくるため、注意しておきたい。

焦点発作」による行動異常も、さまざまな事例がある。例えば、歩いていたと思ったら急にピタッと止まったり、一点をじっと見つめている。虫が飛んでいないのに、まるで虫をつかまえるかのように口を上に向けてパクパク動かしている。急にクルクルち自分のお尻を追いかけるのように回転行動をはじめる。歩き方が斜めになってしまったり、足がもつれるなど。焦点発作も一時的なものであり、数分以内に治まってしまうことが多い。

これらの発作が起こる間隔も程度によってさまざまだ。毎日起こる場合もあれば、週に1回や月に1回、何年に1回ということもある。いつもは全般発作を起こすのに時々焦点発作を起こしたり、あるいは、これまでは焦点発作だけだったのに突然全般発作に移行することも。

全般発作が起これば、飼い主もすぐに病院へ連れて行くが、焦点発作は気がつかない人も多いので注意しよう。

 

犬のてんかん症状に似た病気

犬のてんかん

▼詳しく検査していきながらどの病気をかを区別していく

てんかんの診断は、除外診断で判断していくしかない。経過や症状を見ながら、てんかんに似た病気をあてはめていき、血液検査やMRI検査など、さまざまな検査を行っていく。ここでは、けいれん発作や行動異常など、てんかんと似たような症状を出す病気を紹介していこう。

まず第一に挙がるのが、脳に障害を与える脳炎、脳腫瘍だ。てんかんも脳疾患のひとつといわれている。

また、脳以外の部位からくる病気にも、てんかんに似た症状を起こす病気がある。主な病気に低血糖症、尿毒症、低カルシウム血症、電解質異常、膵炎、問題行動などが挙げられる。これらの病気についても詳しく知っておくようにしよう。

■脳炎

どんな病気?:
主な原因は免疫介在性によるもの、寄生虫によるものなどがある。脳の炎症が続くと脳細胞が萎縮し、脳の機能障害を起こしたり、脳細胞が壊死してしまう。発症すると命を落とすことも多い。

どんな症状?
けいれん発作以外に、歩き方がふらつく、首を傾けたままになるなどの異常行動と、意識障害が起こる。脳のどの部分に炎症を起こしたかで違いがあり、見た目の症状だけでは脳炎と判断するのは難しい。

治療方法:
MRI検査を行い、免疫介在性脳炎と診断したらステロイド剤で炎症をおさえながら様子を見るしかない。余命は早くて数ヶ月、長くても数年と覚悟が必要。ウイルス性のものはジステンパーが多いのでワクチン接種で予防できる可能性も。

 
■脳腫瘍

どんな病気?:
脳にできた腫瘍が大きくなるにつれて脳内が圧迫され、それに伴いさまざまな障害が出てくることも。年齢が若い方が細胞の発育が早いため病気の進行も早くなる。

どんな症状?:
けいれん発作以外に、歩き方がふらついていて、まっすぐに歩けなくなる。足の運び方がおかしい。眼球が上下や左右に揺れるなど。腫瘍ができた部位によって症状には違いがある。

治療方法:
CT検査やMRI検査で腫瘍ができている位置や大きさを調査したうえで、手術で取り除けるか判断していく。手術以外にも放射線治療法や抗がん剤を使う場合もある。悪性度の高いがんの場合は治療が難しい場合もある。

 
■低血糖症

どんな病気?:
何らかの原因により、血液中の糖分濃度が低くなり、全身の細胞へと栄養が行き渡らなくなり、けいれんや歩く時のふらつき、無気力といった症状を出す病気。

治療法:
ブドウ糖を投与する。子犬なら寄生虫や環境変化によるストレスなどが主な原因。成犬はホルモンバランスの異常や膵臓の腫瘍、糖尿病などが主な原因。これらの原因となる病気も併せて治療する。
 
犬のてんかん
 
■尿毒症

どんな病気?:
腎不全の進行など、腎臓機能が低下することで、本来はオシッコとして排泄されるはずの毒素が体内に蓄積してしまい、重度になると命にもかかわる病気。

治療法:
症状の程度にあわせた治療を行う。主なものとしては、輸液や血管拡張剤などによって、体内に蓄積した老廃物を排出させるなど。尿毒症を引き起こさないためにも腎臓疾患の早期発見・治療が大切。

 
■低カルシウム血症

どんな病気?:
血液中のカルシウム濃度が低下する病気。カルシウムはさまざまな働きを持つが神経伝達にも重要な働きを持ち、発症するとけいれん発作を生じることも。

治療法:
原因には、中毒や腎障害、マグネシウム血症、ホルモン異常など、さまざまある。血中のカルシウム濃度をあげるため、カルシウム剤の投与を行う。また、原因となる病気についても治療を行っていく。

 
■電解質異常

どんな病気?:
血中のナトリウムやカリウム濃度がなんらかの原因により、高く、あるいは低くなってしまう状態。特に、カリウムが高すぎるようになると、心臓機能に支障を起こし、命に関わる場合もある。

治療法:
電解質の異常が原因でけいれんを起こしていたら、点滴で電解質を調整していく。電解質のバランスを崩した原因となる病気も併せて治療を行っていく。

 
■膵炎

どんな病気?:
原因がわからないことも多い、膵臓に炎症を起こす病気。程度により症状は違いがあるが、炎症が重度の場合はけいれん発作のような症状がみられる。

治療方法:
決定的な治療方法はなく、症状にも応じた治療を行う。発症すると治らないため一生の食事制限が必要。高脂肪食を食べると一気に悪化しやすいので注意。糖尿病や多発性関節炎などを引き起こすことも。

【発症するとつらい!痛い!】犬の膵炎ってどんな病気?原因・症状・予防について

 
■その他

他にもてんかんに似た病気はあるので注意:
一時的にけいれんをおこす病気として、犬が口にすると危険な食べ物や殺虫剤などの薬物による「中毒」がある。また、非常に紛らわしい病気として、問題行動や心臓性あるいは食事による非てんかん発作がある。獣医師でも真性てんかんと誤診してしまう場合もあり、抗てんかん薬に反応しないため、難治性てんかんとされてしまうこともある。治療薬に反応しない場合は疑ってみよう。

 

てんかん症状が起こったら……

犬のてんかん

もし、愛犬が強いけいれんを起こした場合は、むやみに抱いたり、触らないこと。歯をくいしばる犬もいるため、いきなり噛まれる可能性がある。

心配だから抱いてあげたいという場合や、動物病院へ連れて行く場合には、バスタオルや毛布で犬の体を包み込んで、噛まれないよう注意を。

強いけいれん発作が続いていたら早めに動物病院へ。

連れて行く際には、すぐに処置をしてもらうためにも、必ず電話を入れてから向かおう

 

犬のてんかん まとめ

てんかんだけに限らず、けいれん発作や異常行動などを起こす病気は、どれも起こる症状がよく似ている。

見た目だけでは、てんかんなのか、それとも他の病気なのかは区別できない。

しかし、病気の中には命に関わるものも少なくない。それだけに少しでも様子がおかしいと思ったら、早めに動物病院で診てもらうことが大切。

また、けいれん発作や何らかの行動異常が起こっても、動物病院へ連れて行こうと思ったら、治まって普通の状態に戻ってしまうことが多い。

そんな時には、記録をつけておくようにしよう。それを動物病院に持参していけば、診断の目安に役立つ。

気になる様子はいつどのようにして起こったのか、それはどのくらいの時間続いたのか、時間帯やその日の天気、与えた食事の内容、その日は何かイベントがなかったか。例えば、来客があって興奮していたなど、気がついた範囲のことを書きとめておきたい携帯電話の録画機能などを使い、動画として記録しておくのがもっともよい

これらの記録をつけておけば、どのくらいのペースで発作が起こっているのか、どんな時に起こりやすいのかなどが分かってくる。

以前と比べて発作が治まるのに、時間がかかっている場合は、もしかしたら重積症状かもしれないと判断できる。

素早く犬を動物へ連れて行くようにしよう。

 
 
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コーギースタイル Vol.35『よく聞く病気だけど、正体不明 てんかんって何だ?』より抜粋
※掲載されている写真はすべてイメージです。