犬の口が臭いなら、歯周病の可能性大! 放置すると重症になることも。今回は口腔内疾患の症状や治療法をご紹介しよう。
まず犬の歯の構造を知ろう!
犬の歯は42本(乳歯28本)。切歯12本、犬歯4本、前臼歯16本、後臼歯10本で構成される。
ものをかみ切るのは、ハサミのように咬合する上顎第4前臼歯と下顎第1後臼歯で、ここが最も歯周病になりやすい。
歯は歯肉で覆われ、半分は骨に埋まる。見える部分は歯冠、見えない部分は歯根。
愛犬の健康チェック!
よくある行動の変化も、口腔内疾患の影響である場合が考えられる。気づいたら病院へ連れて行こう。
□片側の歯だけでものをかんでいる
□食事中など、頭(顔)を右(左)に傾けていたり、頭を振る
□かたいものを避け、柔らかいものだけを食べる傾向がある
□食事中に奇声を発している
□口を開こうとしなくなった
□口の周りを触られるのを嫌がるようになった
□食欲はあるが食べにくそうで、食事時間が延びた
□前足の先がだ液でぬれている
お口トラブルランキング
1位 歯周病
▽放置して悪化すれば内臓疾患や骨折にも
歯垢中の細菌により、歯肉、歯根膜、セメント質、歯槽骨が炎症を起こし、壊れる病気。
症状は歯垢歯石がつく、歯肉が赤い、歯肉が腫れる、歯と歯肉の間に化膿液が出る、歯肉から出血する、など。
最終的に歯が抜けると治るが、それまでに内臓疾患や顎の骨折を起こす場合も。
初期は歯垢歯石の除去や薬物治療、進行後は歯根の汚れを機械的に除去する治療が必要。
2位 歯の破折
▽かむことが好きな柴犬は特に注意
犬の歯は人間よりも折れやすい。骨やヒヅメなどのかたいものをかむと、上顎第4前臼歯の頬側の歯がはがれるように折れる場合がある。
テニスボールなどやわらかいものでも、長時間かんでいると折れることもあるので注意が必要。
歯が破折すると、多くは歯髄(神経といわれる箇所)が赤く露出する。これを放置すると、歯髄炎から歯髄壊死に至り、やがては根尖周囲病巣に。
口腔内X線検査を行い、破折が歯肉の下まで至っておらず、根尖周囲病巣がひどくなければ、歯を保存しながら治療も可能。
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3位 歯根膿瘍
▽目の下や鼻管に穴が開くことも
ついた歯垢・歯石が歯根周辺にまで至り、歯槽骨(歯根周囲の骨)が腐ってしまう病気。進行すると、やがて歯根周囲の皮膚(目の下など)に穴があいてしまう歯瘻や、口腔と鼻の間に穴があいてつながってしまう口鼻瘻管を引き起こすこともある。
犬の場合、人間と比べて歯根周囲の骨が非常に薄いため、これらの病気は容易に起こりやすい。鼻から膿や鼻血が出る、くしゃみが止まらない、激しい痛み、発熱、食欲低下、元気消失などの症状が見られる。
レントゲン検査後、抜歯して傷口を封鎖する手術が必要となる。
4位 乳歯遺残
▽不正咬合や炎症を引き起こしやすい
通常は生後4~7ヶ月で抜ける乳歯が、なんらかの影響で残ったまま成長してしまう病気。
不正咬合を引き起こすので、口腔内の粘膜を傷つけたり、その痛みで食事をとりにくくなったりする。また歯と歯の間のすき間がなくなり、歯垢歯石がつきやすくなったり、炎症がひどくなり、歯根膿瘍や下顎の骨折を起こすこともある。
トラブルを防ぐためには、できるだけ早く抜歯することが肝心。生後6~7ヶ月頃に動物病院で見てもらい、乳歯が残っているなら処置してもらおう。
成犬のほとんどが歯周病にかかっている!
犬の口の中はアルカリ性で、酸性を好む虫歯菌が育ちにくく、だ液中にでんぷんを糖に変えるアミラーゼがないので、虫歯にはなりにくいもの。
一方、接着性が低い虫歯菌に対し、歯周病菌はどこでも接着する性質があり、犬のとがった歯にも簡単につくため、犬は歯周病になりやすい。
犬の場合、歯の周囲にばい菌が入って3~5日で歯石化。歯石の表面には歯垢がまたつきやすくなるので、歯周病が進行しやすくなる。
歯周病はどの犬種にも多いが、硬いものを噛むことで起こる歯の破折と歯根膿瘍はとくに柴犬に多く見られる。
口のケア&チェックは重要
口がくさいとか、歯茎が赤いなど、ちょっとした体調不良として軽視されがちな症状も、実は深刻な口腔内疾患の前触れであるケースがある。
口の中の病気といえば、人間の場合は虫歯が代表的だが、犬の場合は歯周病が圧倒的多数。なんと成犬の8割が歯周病にかかっているのが現状。野生動物は歯周病は少ないが、家庭犬がかかる原因は、粘着性の食事をとっていることや、ストレス、寿命が延びて歯垢歯石の付着率が上がったことなどが考えられる。
歯周病が悪化すると、歯が抜けて食べる喜びを失ったり、顎の骨折をしやすくなったり、内臓疾患になるなど、重症になる場合もある。歯周病以外にも、歯の破折、乳歯遺残などの口腔内疾患などにかかる犬も少なくない。
口腔内疾患を悪化させないためには、飼い主が犬の異常に早く気づけるようにしておこう。犬が驚くほど元気に生活できるようになるケースも多いので、早期に適切な治療を受けることが大切だ。
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Shi‐Ba vol.65『犬のオーラルケアについて考える うちの愛犬の口がくさい!』より抜粋
※掲載されている写真はすべてイメージです。