元気でかわいい子供も、犬の目には挙動不審で迷惑な存在に映ることも。でも公園や友達づきあいの中で、子供との遭遇は避けては通れない。お互い気持ちよく接する方法を覚えておこう!
日本犬は子供嫌いな犬が多い!
レトリーバーなどの洋犬とは違い、日本犬は、基本的にしつこくてうるさい子供は苦手。マイペースで向かって来る子供に対して、犬は警戒心を抱く。それが高じると、自分を守るために攻撃的な態度に出てしまう可能性も。
そうして万が一、子供を襲うような事故が起きてしまった場合、先に手を出して来たのが子供の方であっても、責任の所在は「犬=飼い主」が問われることに。子供がけがなどすれば、裁判に訴えられたり罰金を払うような大事に発展することも考えられる。
トラブルを避けるためには、飼い主や親が犬と子供の性質を十分理解した上で、双方にストレスのない接し方を心がけることが必要だ。
子供嫌いにさせないためは?
犬の気持ちおかまいなしに、いきなり手を出したり、うるさい声を出す子供。身内の子供なら言い聞かせてやめさせることもできるが、公園で出会ったり、来客が連れて来た子供の場合はそうもいかない。
愛犬が社会化の時期(生後8ヶ月頃まで)ならば、あらかじめ、こうした子供ならではの行為にできるだけ悪いイメージを抱かせないようなトレーニングをしておくといい。目の前に手を出されることや、黄色い声に普段から慣らせておけば、いざ目の前で子供がそうした行為をしても、動じずにすむ。
社会化の時期(8ヶ月頃)をすぎた犬で、子供への苦手意識があるなら、やはり同様のトレーニングをしてできるだけ子供のイメージアップをはかるが、それでも苦手意識が直らないようであれば、無理にすぐ触れ合わせず、時間をかけて見守ろう。
また愛犬に甘噛みがあれば、直しておくこと。犬は軽い遊びのつもりの甘噛みでも、子供はびっくりして泣いたり、けがをすることも。
ただし、こうしたトレーニングをしても、遺伝的に攻撃性を持った犬もいる。
その場合は、子供と触れ合わせることは今は避けること。家の中で飼っているなら、赤ちゃんや小さい子と一緒にいさせることも、トラブルの原因になりかねないので避けつつ、双方が敵対関係にならないように大人が間に入り、存在だけは認め合えるようにしよう。
普段からやっておきたい習慣づけ
どのトレーニングも、初めから子供にやらせるのは危険。最初は大人が行い、犬に届かない距離の後ろ側から子供に見せよう。慣れたら大人が見ているところで子供にやらせてもかまわない。
■手を好きになってもらう
人の手や足に対する恐怖心がある犬は、子供がいきなり手を出した時にびっくりし、自分を守るために攻撃に出ることがある。下記の方法の他、普段から優しく撫でてあげることも有効だ。
普段、食器から食べさせているフードを、手から食べさせてみよう。また、犬が食べている最中に、横からチーズやササミなど犬の好物をトッピングする方法も。犬は「手=おいしいものをくれるいいもの」、といいイメージを持つ。
【NG】手足を使って叱ってはだめ
手で叩いたり、けったり、マズルをつかんだりして叱るのはタブー。繰り返していると、犬は「手足=おそろしいもの」と認識。子供が手を出して来た時に、攻撃的な態度に出やすくなる。
■甘噛みを直しておく
日本犬は甘噛みしやすい犬種。手を噛むクセをつけさせないことが大切。生後8ヶ月頃までは生理的に甘噛みすべき時期なので、噛みごたえのある牛皮などを与えて存分にさせてあげること。
1.噛んだ手が動くと、犬は獲物をしとめるように面白がって余計に噛んでしまう。噛まれたら、まず動きを止めて手をグーにかため、犬にとっても面白みをなくすこと。
2.手を後ろにかくし、犬が落ち着くのを待つ。(子供が噛まれた場合は手をグーにする余裕がないことも。噛まれそうになったら立ち上がり、すぐ手を後ろにかくしてもよい)。
3.完全に落ち着いたら噛むものを与える。手を噛まずに落ち着いていたら、噛むものをもらえると認識してもらおう。落ち着く前に与えると余計噛むようになるので注意。
■子供のイメージアップ
子供の挙動不審な行動やうるさい声を制御するのは難しい。犬をこうした子供の性質にできるだけ慣らしておくことで、いざ子供と接する際の犬のストレスを軽減することができる。小学校の近くや、公園など子供がいるそばで、犬にオヤツをあげたり遊んだりする。子供の存在=いいことがある、と認識してもらおう。
子供と触れ合わせてはいけない犬の状態
子供を苦手とする犬はもちろん、そうではない場合も、下のような状況の時は子供と接触させないようにしよう。他にも飼い主から見てNGな状況があれば注意しておくこと。
集中している
遊びや運動に集中している時も注意。子供がちょっかいを出すことで邪魔されたと認識し、攻撃的な態度に出ることがある。
口に物が入っている
ガムやオモチャなどをくわえている時は、食事中の時と同様、くわえているものを守ろうとして手を噛んだりする恐れがある。
食べている
犬はとっさにフードやオヤツを守ろうとして攻撃的な態度に出ることもあるので、食事時に触れ合わせるのは避けた方が無難。
寝ている
睡眠を邪魔されると犬はビックリして反射的に攻撃することも。触るのはもちろん、耳元でうるさい声を出すことも避ける。
静かにしてほしそうにしている
寝る前や、運動後のクールダウン中などは、犬もそっとしておいて欲しいもの。ちょっかいを出すのはやめておこう。
子供と触れ合わせない選択肢もある
犬がどうしても子供を苦手とする場合はもちろん、子供の存在や行動を犬が苦にしなくなった場合でも、犬の状況によっては、子供と触れ合わせることを避けた方がいいこともある。
上で紹介したようなケースはもちろん、愛犬の普段の様子をよく見ておき、飼い主から見てやめた方がいいと思う時には、子供を近づけないようにしましょう。
子供と仲良くできないからといって悪い犬ということは決してない。また近所づきあいなどの手前「よその子供に犬を触らせないのは失礼かも……」などと考える必要もない。無理に触らせて事故につながれば、犬も子供も傷つくことになってしまう。
大切なのは、子供やその親が嫌な思いをしたり、犬を嫌いになってしまわないよう、上手な断り方をすること。例えば「この犬臆病だから触られるとびっくりしちゃうの」「犬が好きなのね。今度また会った時によろしくね」などどんな内容でもかまわない。いさぎよく、なんらかの理由をつけて、感じよく断る術を身につけよう。
また、このようにあいさつ程度で何度か会っているうちに、犬がその子供に対して心を開き、本当に触れるようになることもある。知り合いに子供がいれば、何度か協力してもらって犬を慣らすのも良いだろう。
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Shi‐Ba vol.50『愛犬にストレスを感じさせずに子供と円満に触れ合うコツとは?教えて子供との接し方』より抜粋
※掲載されている写真はすべてイメージです。