人にはヘルシーでも犬には??な食材。雑穀・海藻類・乳製品は食べられる?

 

 

雑穀や玄米

犬に与えていい食べ物

■人間にとっての雑穀や玄米
雑穀や玄米の特徴的な栄養は、なんといってもその胚芽や外殻部分に含まれる、ビタミン、ミネラルと食物繊維。白米と比較するとビタミンB1とEは4倍、B2は2倍、脂質、リン、鉄は2倍以上!不足する栄養素を補いたい、便通をよくしたいなどの理由で食事に取り入れる。また、白米に比べ硬いため、よく噛んで食べるので、飲み込むまで時間がかかり、飲み込むようにゴハンをかきこむ派の食事量の減量に役立っている。

 
■雑穀や玄米の秘密

・消化吸収率が悪い
栄養豊富な外殻部分には食物繊維も豊富。そのため便通はよくなるが、消化器官での栄養の消化、吸収率が悪いのが難点。これを補うため人では「口の中でよく噛む」ことで栄養分を吸収しているが、飲み込む食性の犬は、喉に入る大きさの食べ物は、飲み込んでしまう。よって折角の栄養素もウンチの中へ。

・リン、マグネシウム
栄養豊富なだけあり、犬にとっては尿石症の原因になるこれっらの栄養素が豊富であることもお忘れなく。

・アレルギー
一般的にタンパク質。タンパク質といえば肉、魚、卵や乳製品を考えるが、穀類の中にもタンパク質はある。特にそれは米の外側部分に多く含まれるため、雑穀や玄米は、場合によってはアレルゲンを含んでいることがある。

 
■犬にとっての玄米や雑穀
口の中でよく噛む習慣がない、消化器官が短い、そして尿石症になりやすい犬にとって、玄米や雑穀をペットフードに加えるのは健康面より、不安面が多いようだ。また、尿石症になりやすい、現在なっている、あるいは過去に経験したことがある場合はこれらの穀物が主原料となっているペットフードも避けたほうがいいだろう。さらに、アレルギーが多い柴犬。原因不明の場合は、穀物に問題があることも。

 
■結論
フードに混ぜる場合には、まずはそれだけ与えてアレルギー反応が出ないかを確認。大丈夫であれば、多めの水で十分柔らかく炊くなどの工夫をして1日20g程度を目安に。

 
 
 

乳製品(ヨーグルト・チーズ)

乳製品

■人間にとっての乳製品
乳製品の特徴的な栄養素であるカルシウム。骨には欠かせない栄養素としての認識があるが、乳製品はこの他、タンパク質、脂肪、ビタミンやミネラルをバランスよく含む消化によい食品。

 
■チーズの秘密

・チーズの種類
チーズはナチュラルチーズとプロセスチーズに大別される。ナチュラルチーズは牛や羊などの乳を乳酸菌で固めたもので、プロセスチーズはナチュラルチーズを加熱して作った加工食品。よって、身体にはナチュラルチーズの方が理想的。しかし、いずれにせよチーズは食塩を添加して作られるため、塩分が高いのが気になる。その中でも塩分が低いのがクリームチーズとカテージチーズ。

・カルシウム
単純に食べただけでは、カルシウムは体に吸収されない。牛乳に含まれる乳糖やタンパク質があって初めて吸収をすることができる。それ故にカルシウムも豊富で、タンパク質も豊富な乳製品はカルシウム摂取源として優秀といえる。食品別にカルシウムの吸収率を比較すると、乳製品は40%、小魚は30%、野菜は19%とされている。

 
■犬にとっての乳製品
乳製品に含まれる乳糖で軟便や下痢を起こさないのであれば、乳製品はカルシウム補給食品として、小魚よりも犬に適している。しかし、脂肪も含まれているので、適量を決めてそれを越さないように与えると良い。水分摂取を促す時には、牛乳を水で薄めてあげると水をあまり飲まない犬も喜んで飲んでくれる。

■結論
牛乳は他にオヤツをあげない場合で1日に100cc、チーズは塩分濃度や脂肪が低くタンパク質やカルシウムが高いカテージチーズで40g程度を上限に。フードに混ぜる場合はフード全体にコーティングするようにつけると満足度がアップ!

 

海藻類(海苔・ひじき・わかめ・寒天など)

犬に与えていい食べ物

■人間にとっての海藻類
海藻類の食物繊維は、コレステロールを体外に排泄する、おなかで膨れて満腹感を与えるなどの働きがある。栄養面ではその他にも髪に良いヨード・カルシウムや鉄といったミネラルが豊富。また、海苔、ひじきやわかめには抗酸化作用のあるβカロテンが含まれ、中でも焼き海苔(あまのり)にはひじきやわかめの5~10倍も含まれている。

 
■海藻類の秘密
満腹感に役立つ食物繊維だが、胃の中に必要以上に食物が留まっているのは消化にマイナス。

・消化酵素
海藻類に含まれる食物繊維が水分を吸収すると、腸内をゆっくりと通過しながら、過剰な食物繊維は、消化のために必要な消化酵素をも取り込んでしまうため、栄養素の消化吸収率が悪くなる。

・βカロテン
豊富に含まれるβカロテンだが、脂溶性ビタミンなので脂肪がない食事では栄養素としての吸収が出来ない。海草自体は低カロリーでも、栄養摂取には脂肪が必要になる。

 
■犬にとっての海藻類
胃の中では肉食である犬に最も必要な栄養素タンパク質を消化するための消化酵素が分泌されている。よって、胃の中に海藻類が長時間留まると、タンパク質の消化さえも悪くなるため、被毛のつやが悪くなることも!必要以上に多く摂取する、あるいは胃の働きが悪いときに与えると、吐き戻しの原因となることがあるので気をつけよう。高齢犬や食前、食後に水をがぶがぶ飲むタイプはなおさら。

 
■結論
刻んだものを1回の食事に水分を含んでいるものであれば大さじ1程度、乾燥している粉末昆布などは小さじの先程度で十分。また、ひじきなどは細胞が固いものは便にそのまま出てくるのであげたい場合はすりつぶすなどしてあげよう。

 

生肉の真実

生肉

生肉を犬に与えたほうがいいのか悪いのか?愛犬の食事を真剣に考える飼い主さんが必ずと言っていいほど突き当たる疑問。答えは「YES」そして「NO」だ。つまり食品をどこから捉えるかにより異なるからだ。

一般的に生肉推奨派は、野生時代の食性と、生肉に含まれる「酵素」という角度から栄養を述べている。食品に含まれる栄養素は消化酵素になしでは消化吸収して身体が利用することは出来ない。一方で酵素は熱に弱い性質があるため、加熱調理により折角の食品中にある消化酵素が破壊され、結果消化吸収の効率がさがるというわけだ。実際、犬は血なまぐさいニオイを好み、また生肉を与えると喜んで食べる。しかし、膵臓機能が弱い体質の犬では生肉は下痢を引き起こす。

では次に生肉の栄養を食品の安全性の角度から見てみよう。家畜を育てるときに使用される飼料や薬物は特別な飼育環境や方法でない限り、それらに含まれる残留農薬など本来の望ましくない成分は肉の中、脂肪分に蓄積されている。このような成分は食生活を安全に守るために必要であると同時に、健康にリスクがあることも否めない。抵抗力の弱い幼歳犬や高齢犬では体内で処理できない可能性が考えられる。また、日本の湿度が高い環境は細菌が繁殖するのに最適。これらを考えたとき、加熱により殺菌し、また不必要な成分を少しでも除去することの方が、そのまま食べるよりも健康リスクは避けることができる。

■結論
一方で健康体であればそのような物質も処理できるのかもしれない。最も大切なこと。それは愛犬が、消化、吸収を十分にできて健康状態を維持することのできる食事。どうしても生肉をあげたい場合は、ごくごく少量を与えてみて様子を見るのが懸命。

加える食品同様、もっともっと健康にという願いが間違った方向へ行かないように気をつけよう。

 
 
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Shi‐Ba vol.48『人にはヘルシーでも犬には??な食材もあるんです』より抜粋
※掲載されている写真はすべてイメージです。

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