いつもはニコニコ笑っている愛犬が、ひょんなきっかけで突然怒る。そんなことってないだろうか?今回は、そんな愛犬のキレるスイッチについて徹底調査!
犬が怒る3つの理由
1.本能的に身の危険を感じとって怒る
不可解なことや本能的に危険を感じることに対し、身を守るために怒る。例えば、いきなりブラッシングされたり、洋服を着せられたり、眠い時に起こされて怒るのはほぼこれに分類される。これらの状況において、心地よい体験を積めば、苦手意識を克服することも可能。
2.体験や飼い主との関係を通し苦手になったことを怒る
落ち着けるはずのクレートに長時間入れっぱなしにさせられたなど、本来嫌いでないこともイヤな体験をさせられることによって嫌いになり、その状況になると怒ることも。やきもちや分離不安で怒るのは、頼りにならない飼い主との関係が原因であることが多い。
3.遺伝的要因で怒りやすい性格のために怒る
防御本能が強く臆病だったり、逆にカッとしやすい遺伝的要因を持つ犬は食べ物を守らねばといった意識が強く、食事中に邪魔されたり、取り上げられることに対して執拗に怒る。ある程度は良い体験を積むことで改善できるが、できない犬も1~2割いるとされている。
犬が怒る理由はとてもシンプル
犬が怒る理由はシンプルだ。初めてのことや本能的に身に危険を感じることに遭遇する、イヤな体験や頼りにならない飼い主との関係を通して嫌いになったものに遭遇する、遺伝的に怒りやすい性格であるため、の3つに大別される。
割合としては2番目の、体験や飼い主のギクシャクした関係を通して嫌いになったものに対して怒ることがほとんどで、つまりは飼い主の方が、犬が怒る原因の多くをつくるといえる。
また、原因のうち冒頭に述べた前者2つは複雑にからみあっている。
例えば、適度な大きさのクレートに入ることは犬が本能的には好きなことのはずだが、ペットショップから家に連れてこられていきなり広い場所で飼われるようになると、開放的な場所に慣れてしまい、クレートに入ることが苦手になって、入れられるときにイヤがるようになることもある。
また、拘束されることは犬の本能的には嫌いな場合が多いが、抱っこしながらフードをあげるなど、いい体験を積めば好きになり、怒らなくなることもある。
すなわち本能的な怒りと体験的理由による怒りは、新たな体験を積み重ねることによって改善させることが可能で、逆に悪化させてしまう危険もある。
ちなみに食べ物やオモチャなどを執拗に守るといった所有欲絡みで怒る場合は、防衛本能が強く臆病だったり、逆にカッとしやすい遺伝的要因を持つ犬に現れることが多い。
遺伝的要因で怒りやすい犬は全体の1~2割いるが、その判断にはプロの目が必要となる。
6つの怒りのシグナル
1.カーミングシグナルを発する
怒りをあらわにする前に、身を固くして、目線をずらしたり、体ごとそっぽを向いたりなどのカーミングシグナルを発することが多い。
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2.シッポの動きと位置が微妙
体の緊張にともない、シッポの動きも緊張感のある微妙な振り方に。位置はピンとあがったり、逆に宙ぶらりんに下がったりすることも。
3.背中の毛が立ってくる
背中の毛が逆立ってくる。体が硬直していて、今にも攻撃せんといわんばかりの雰囲気に……
4.顔にシワを寄せている
表情にも攻撃精神があらわに。鼻のあたりにしわを寄せたり、目つきが険しくなったりする。
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5.唸ったり、唇をめくってくる
やがて唸ったり、唇をめくって歯をむき出しにしたりと、表情はさらに険しくなってくる。
6.目線を微妙にずらして唸る
怒っているが対象物を視界に入れつつも、微妙に視線をずらしながら唸っている。
怒りのシグナルを見たら注意!
犬の怒りのシグナルを目にしても、急に怒っている対象物を下げようとしたりなど、あわてて下手に動かさないようにしたほうが懸命。犬にとって対象物が素早く動くことは得物が逃げて行くことを連想させ、攻撃の欲求に繋がってしまうからだ。
例えば、目の前に手を出したことによって、犬が唸ったら、目線をそらして、そのまま出し続けておくか、ゆっくり引き下げる。早く下げると、攻撃を煽ることになってしまう。
人間もよく切れる包丁を手に入れると使いたくなるものだが、犬もシグナルに威力があることがわかるともっと使いたくなるので、飼い主は怒りのシグナルには落ち着いた態度でゆっくりと対処することが必要となる。
怒らない犬にするにはいい体験とプロの目
怒らない犬にするためには、できれば子犬のうちから本能的に嫌いなものに対して心地よい体験を積ませ、好きになるようにしむけておきたいもの。
ブラッシングをする際は、ブラシというものは犬の辞書はないということを心得つつ、フードなどのご褒美を出しながらブラシを見せ、慣れて来たら少しずつかけて見せるなど、段階をふんでブラシを犬に紹介し、好きになってもらうようにする。
いい体験を積むことによる、キレ防止は、成犬になってもある程度はできるので、怒りっぽい犬にでもできるだけ努力しよう。
それでダメなら、しつけの技術だけでは直らないことも多いので、行動治療の専門家に相談を。解決策や妥協案が見出せるかもしれない。
犬がキレる原因が悪意のせいであることは絶対にない、ということを念頭において根気よく対処していこう。
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Shi‐Ba vol.30『どうしていきなり怒り出すの?愛犬のキレるスイッチを調査せよ!』より抜粋
※掲載されている写真はすべてイメージです。