人は汗で体温を下げられるが、このようなしくみを持っている動物はごくわずか。犬は肉球など限られた部位しか汗をかけないので、暑い時には口を開けて舌を出し、唾液を蒸発させて体温調節をしている。とはいえ、汗の方が効率よく調節できるので、犬は人より暑さに弱い。冷やす手助けをしてあげたいもの。今回は愛犬が夏を涼しく過ごすためのアイデアを紹介しよう。
1.夏に多い犬の体調不良
2.特に注意が必要な犬
3.暑さに強い犬は都道府県が関係?
4.効果が今ひとつの冷やしテクニック
5.活用できるアイテム&テクニック
6.犬びより的おすすめ納涼テクニック
7.発砲スチロールハウスを作ろう!
8.もし愛犬が熱中症になったら?
夏に多い犬の体調不良
■熱中症
急激に体温が上昇すると発症。散歩中が特に危険。うなだれてフラフラ歩いたり、頭を上げてあえぐように呼吸をはじめたら、ただちに動物病院へ。
■胃腸の不調
体力の低下による下痢や嘔吐の他、暑さによるストレスが不調を引き起こす場合も。一時的な症状であれば心配はないが、数日以上続く場合は動物病院へ。
■やけど
日差しで熱くなったマンホールや砂地を歩かせると、肉球をやけどしてしまう。人は靴を履いているので見逃してしまうが、地面にも気を配って散歩しよう。
特に注意が必要な犬
■肥満犬
太っている犬は脂肪で熱がこもりやすく、心臓の負担が大きい。人と同じく病気のリスクも高い。
■毛色
黒い方が熱を吸収しやすいので、黒柴は日差しに注意。赤柴は毛の密度が濃い傾向があるので、熱がこもりやすい。環境に気を配ろう。
■4~8歳
活動的で毛量が多い年齢なので、熱中症のリスクが高まる。
暑さに強い犬は都道府県が関係?
沖縄県で生まれ育った犬は暑さに強い。北海道で生まれた犬も、沖縄県に移住すれば、徐々に暑さに慣れていく。
日本犬より暑さに弱いシベリアン・ハスキーは「飼っていいのはエアコンがある家だけ」といわれていたが、現在は日本の気候に順応している。
効果が今ひとつの冷やしテクニック
■コールドスプレー
涼感が得られるタイプは皮膚にかけないと効果がないはず。もし犬に使うなら毛がないお腹くらいだろう。 皮膚への影響も心配なので人用は避け、犬用を体の一部で試した方が安心。
■濡らした服を着せる
服を冷たい水で濡らしたとしても、すぐに生温くなってしまう。一時的な効果しか望めない。
■犬用の靴
肉球をやけどしないように、という気遣いは大切だが、地面が冷えてから素足で散歩に行った方が人にも犬にも快適なはず。
活用できるアイテム&テクニック
■夏の散歩の豆知識
・ペットボトル
500mlのペットボトルに水を入れて凍らせたもの。お腹にあてたり、口元に近づけたり水分補給したり、使い勝手がいいアイテム。
・保冷剤
凍らせたペットボトルより涼感が長持ちするので、特に暑い日は用意した方が安心。大きめサイズを選べば人も涼しい。
■散歩の前の確認事項
・散歩コースは日陰や水辺を選ぶ
アスファルトは日差しで熱くなる。散歩コースは水辺や木陰など、周辺よりも温度が低い場所を選ぼう。
・散歩の時間は朝4時~5時
日中の散歩は避けた方がいいけれど、日光浴ができない状況は犬にストレス。日の出とともに出発し、朝日を浴びながら散歩しよう。
・地面の温度を確認
アスファルトやコンクリ素材の地面は高温になりやすく冷めにくい。ベストは土、次に芝生、短い草が生えた野原がおすすだ。
■室内暮らし温度対策
・停電した場合に備えて、充電式の冷風器を購入する
・遮熱素材や遮光素材のカーテンに変える
・扇風機の前に凍らせた保冷剤を置くと冷風器の代わりになる
・犬が座る場所に凍らせた2ℓのペットボトルを設置
・クール系のマットを置く
■屋外暮らし温度対策
・直接日興が当たらないようにグリーンカーテンを育てる
・犬のハウスにすだれをたてかけて日差しを遮る
・肥満の犬は心臓に負担がかかるのでダイエットする
・犬を係留する場所を日陰に移動する
・犬が涼しい場所に移動できるように係留ロープを長くする
・ハウスの四隅に凍らせた2ℓのペットボトルを設置
・クール系マットや風通しがよくなるすのこを敷く
犬びより的おすすめ納涼テクニック
■水に氷を浮かべて見た目も涼しい
夏は製氷皿をフル回転! 飲み水に氷を浮かべてあげる。水は飲みたくないけど氷は食べたい、そんな時は手ですくってもらう。飼い主の愛情に氷もすぐ溶けちゃいそう。
■留守時はエアコンの自動運転
暑すぎず、冷えすぎない温度設定を心がけよう。家族がいる時は窓を全開にして、外から吹き込む天然のエアコンを堪能する。
■おそろいで使える保冷剤バンダナ
バンダナやハンカチを用意して、小さい保冷剤を包めば特製冷やしバンダナのできあがり。愛犬とおそろいで使えるのがうれしい。散歩の時だけでなく、家にいる時に巻いて納涼オシャレを楽しもう。
発砲スチロールハウスを作ろう!
【材料】
発泡スチロールの板:
愛犬に合わせてサイズを調節
すのこ:
30×15cm 4枚
(※大きいすのこ1枚の方がオススメ!)
凍らせた2Lペットボトル:
4本
【作り方】
1.カッターで発砲スチロールをカットし、テープで固定して組み立てる。発泡スチロールはテープがはがれやすい。ホームセンターではがれないテープを聞こう。
2.ハウスっぽく組み立てたら奥にペットボトルを並べて立ててみる。
3.ペットボトルを寝かせた上にすのこを敷く。小さいすのこでは不安定なので、大きいすのこ1枚を用意したほうがいい。ペットボトルの上に直接載せるより、四隅にレンガなど丈夫な支柱を置いて載せた方が安定感はいい。
4.写真は青くて涼しげなスタイロフォームを使用しているが、加工時に細かい粉が出て吸い込みそうなので、白い発泡スチロールの方がオススメ。
もし愛犬が熱中症になったら?
暑い地域の夏は犬連れの外出に不向きな季節。でも夏期休暇があるので遊びに出かけるチャンスでもある。
基本的なことだが、日差しが強く蒸し暑い日中の外出は避けること。
もし熱中症になってしまったら、池でも川でもいいので犬を水中に入れよう。鼻先だけ出しておけば呼吸できる。全身を冷やすことを最優先に。
柴犬は熱中症の症例は少ないが、サイズが大きくなるごとにリスクは高まる。熱中症は散歩中に発症するケースが多い。
携帯電話に動物病院の電話番号を登録して、愛犬に異変が見られたら獣医師の判断を聞こう。行楽地へ遠出する場合は、地元の動物病院を調べておいた方が安心。
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Shi‐Ba vol.60『寄ってらっしゃい!見てらっしゃい!猛暑に負けない納涼感がほしい方はこちら! 冷やし柴はじめました』より抜粋
※掲載されている写真はすべてイメージです。