顔の真ん中についているのに、なんか地味。ちょっぴりかわいそうなポジションにいる、犬の鼻。今回はババーン☆とスポットライトを当てますよ!
1.犬の嗅覚のしくみ
2.優れた嗅覚を発揮するために鼻毛は邪魔!?
3.犬が嫌いなニオイは刺激臭、好きなニオイは……
4.人に話しかける犬の鼻
5.鼻息は気分転換
6.犬の鼻のケガ
7.犬の鼻の病気
8.観察力を見抜いて独自の鼻技を見出そう
犬の嗅覚のしくみ
人の数万倍から1億倍ともいわれる犬の嗅覚のしくみを検証しよう。
まずは素朴な疑問。数万倍から1億倍って差がありすぎだと思わないだろうか?これは犬種の違いなどによって差が出るから。動物は鼻腔の鼻粘膜にある嗅細胞でにおいを感知するため、嗅細胞が多いほうが高性能。
マズルが長い長頭種の方が鼻腔の面積が広い分、優れている傾向がある。日本犬の中では紀州犬が長い方。猟犬としての役割を担っているからだろう。反対に、柴犬は短め。
しかし、嗅覚の精度はマズルの長さだけでは決まらない。においを感知するのは嗅細胞だが、判断するのは脳。
また、脳までにおいの情報を伝えるのは神経。嗅覚の精度は1.嗅細胞の感度 2.脳の理解力 3.神経の性能、これら3つが関係している。
優れた嗅覚を発揮するために鼻毛は邪魔!?
犬の鼻にはなぜ鼻毛がないのだろう?ほこりが入るたびにフガフガと故障する探知機では頼りない。鼻毛でガードすれば完璧だと思うが、イヌ科など嗅覚が優れた動物は鼻毛が生えていないように思う。
しかし、嗅細胞がある鼻粘膜の面積を広く保つために鼻毛は邪魔になる可能性があるのだ。
また、鼻毛の有無は構造の違いにもよる。鼻鏡(濡れた鼻)はパッド(肉球)と同じくらい厚い角質層に覆われていて毛穴がない。地面に鼻を押し付けて嗅いでも傷つかないように丈夫に発達したのだろう。
鼻毛がないと不便そうだと思うかもしれないが進化の過程で鼻毛と嗅覚を取捨選択してきたのだろう。
犬が嫌いな匂いは刺激臭、好きな匂いは……
犬はからしや酢、柑橘類など刺激臭を嫌う傾向がある。逆に好きな匂いには個体差があるので一概には言えない。
匂いは動物にとって非常に影響力がある。人の場合、好む体臭同士が惹かれあったり、好ましくない人とは疎遠になったりすることも。
さまざまな分野で研究が続いている。
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人に話しかける犬の鼻
鼻をアピールに使う犬は多い。犬が生きる上で重要な器官なので有効活用している。
嗅ぐ、突っつく、鳴らす、鼻息を出すなどアピール方法は各家庭によって様々。犬は学習でオリジナルの鼻技を身につけている。
アピール方法の開発は学習効果が大きい。ある行動をする→いいことが起きる。これの繰り返しでマスターするのだ。
鼻をフル活用して雄弁に話す犬たち。鼻ヂカラは侮れない。
鼻息は気分転換
鼻息はとても大切。動物は緊張したりパニックになったりすると呼吸が浅くなりがち。人も緊張すると息を詰めてしまうように、犬も落ち着いた平常心の心ではなくなるのだ。
犬の場合、難易度が高いトレーニングや、マテなど止まる号令を教えているときに呼吸が浅くなりやすい。集中しすぎて息をするのを忘れてしまうからだ。犬が鼻でスッスッスッと小刻みに呼吸しているときは要注意。緊張に加え、暑苦しさからストレスが溜まってしまう。家庭でトレーニングをしている時、このような様子が見られたら、リラックスした呼吸に整えてあげよう。
集中してトレーニングをしているとどんどん息が詰まっていく。そんな時はフーッと声を出しながら大きく息を吐くようにする。
何度か繰り返すと犬にも通じて、鼻息をフーッと出し、落ち着いた呼吸のリズムに戻る。
呼吸のコントロールは意識して行うようにしよう。
また、鼻息はリラックスするだけでなく、気分転換にも使われる。
この反応は不本意な状況から解放され、気持ちをリセットしているため。『嫌だなぁ』という気持ちも混じっているのだろう。
嫌がらせにある愛を犬は分かってくれない。せめて呼吸をコントロールして、リラックス&気分転換をしつつ、愛を受け止めてもらおう。
犬の鼻のケガ
犬の鼻は角質層に覆われてる上、他の皮膚に比べて血管や神経が少なめ。痛みを感じにくい、感覚が鈍い器官。
だから地面にこすりつけても平気なのだ。だが、穴の奥には太い血管があるので、傷つけないように気をつけよう。鼻くそが気になる時は入り口をティッシュで拭く程度に。
嗅覚は人の一億倍もあるくせに、鈍感なのだ。そのギャップが妙にかわいい。
しかし、傷つきにくい分、ケガをすると完治に時間がかかる。油断は禁物。
犬の鼻の病気
犬種を問わず注意したいのは、草や砂を吸い込んで発症する異物性の鼻炎。
日本犬の鼻は丈夫なので特有の病気はない。強いてあげるとすれば、柴犬はアトピー性皮膚炎や甲状腺低下症の関係で鼻梁にかゆみが出ること。
秋田犬は鼻鏡に免疫介在性疾患の原田病を発症するケースも報告されている。
観察力を見抜いて独自の鼻技を見出そう
鼻のアピール技は細かいしぐさが多い。鼻を鳴らすのは分かりやすいが、鼻息など細かい動作は飼い主さんでも気づきにくいかもしれない。
しかし、『かまってほしい』『嫌だな』『オモチャをとって』など、様々な気持ちを表現できる手段だ。
家族がこの鼻の訴えに応えていれば、犬は「このアピールはは使える」と学習する。気づかないと「これくらいじゃコイツに通じない」と判断され、動作が大きくなることも。
愛犬の微妙なしぐさを見逃さない飼い主さんは、よく観察しているということ。関係性を築けている。
愛犬の不思議なアピールに気づいてあげられるのは飼い主さんだけ。観察力を磨いて、コミュニケーションツールとして役立てられるといい。
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Shi‐Ba vol.54『アピール力は目・鼻・口よりダンゼン上!?シットリ語る日本犬の鼻』より抜粋
※掲載されている写真はすべてイメージです。