犬びより

問題行動のエスカレートは好転の兆し!?我慢比べで愛犬を変える!

2019/05/27

みなさんは、強化、消去バースト、消去という言葉を知っているだろうか?実はこのメカニズムを知ることで犬へのしつけがもっとスムーズになる。キーワードは“我慢比べで勝つ!”
 

 

犬の行動のメカニズム

柴犬のしつけ

■強化
報酬で行動は強化される
行動の強化はなだらかに進むことが多い。この期間が長ければ長い程、無視することで起こる問題行動の悪化の期間が長くなることがあるので注意を。もし気になることがあれば早めに対処した方がよい。

 
■消去バースト
報酬がないと行動はエスカレート
ここで行動を消去させるために、愛犬の行動に対して無視(報酬を与えない)を始めると、一気に問題行動がエスカレートする。ここから、報酬を与えず無視を続けれるか否かの我慢比べが始まるのだ。

 
■消去
我慢比べに勝つと行動は消去される
見事、愛犬との我慢比べに勝ったら、徐々に行動は減っていく。そして、やがて問題行動の消去に成功の日が!やったー! 世界各国からアメイジング! と称される、日本人の我慢強さを愛犬にも見せつけてやろう。

 
■別の行動の強化
ダメなことを教え、いいことも教える。行動を消去させるだけでは愛犬に「これはダメ!」ということを教えているにすぎない。また、何かの行動が消去されると、他の行動が増える。そのためにも消去させると同時に、問題行動と相反する望ましい行動を強化させていくことが大切。

 

消去だけではなく行動の強化も一緒に行おう

柴犬のしつけ

吠えてもオヤツがもらえなくなった犬は「もっと吠えたらもらえるのでは?」と思い、さらに大きな声で吠えだすなど、要求のしかたが激しくなる。この状態を消去バーストという。こうなってしまったらほとんどの飼い主は驚いてオヤツを与えてしまうだろう。

しかし、実はこの変化が好転への序章。一度悪化した後に、問題行動(この場合は要求吠え)は減っていっていく。

だから一度悪化した時が、我慢比べの始まり。問題行動をやめさせるためには、ここで根負けせずに無視をし、オヤツを与えないようにする。すると愛犬もあきらめて、要求吠えは徐々に減り、やがて消去されるのだ。

しかし、この方法はかなりのリスクがあるのも事実。失敗するとどうなってしまうか、要求吠えを例に説明しよう。要求吠えが消去バーストしていく過程で、要求の前に屈してしまうと「ここまで大きな声で吠えればオヤツをくれる」と愛犬が学習してしまい、次からもそのボリュームで吠えるようになってしまう。すなわち我慢比べに負けると要求吠えは消去されず、さらに強化されてしまうのだ。   

また、要求を通すために他の作戦にでることもある。それらを防ぐためには問題行動を消去しつつ、別の望ましい行動を強化する、または消去と強化を使い分けるといい。その方法をケース別に教えていこう。

 

行動別に見る対応策・吠え

犬が吠えるのは当然。でも、他人に迷惑がかからないように暮らしたい。

■来客への吠え
柴犬のしつけ

【NG】愛犬をはさむ
愛犬の後ろに立って客と喋っていると、飼い主が応援してくれていると勘違いしてしまう。

【対策】位置関係を変えてみる
愛犬と客の間に飼い主が入り、吠えていても無視をする。この場合客が帰ることが報酬になるので、もし頼める人がいるなら、吠えるのをやめるまでいてもらおう。

 
■犬への吠え
柴犬のしつけ

吠えないことを教えるのではなく、強化で良い行動を教える。

【犬の気持ち】
・遊びたい
好きな犬を見つけた時、遊びたい!という意思を伝えるために吠える。

・どこかに行って欲しい
あまり好きでない犬を追い払うために吠えるケース。

【対策】消去は無理なので別の行動の強化を
吠えられても反応しない犬がいないと、消去は難しい。よって、オスワリをかけてオヤツをあげるなど、別の行動をとったらいいことがあると教えよう。

 
■要求吠え

柴犬のしつけ

遊んでほしい、オヤツが欲しい時の吠え。夜吠えられると無視するのは難しいので、昼間のうちに対策を。

【NG】オヤツをあげる
吠えをやめさせようとしてオヤツをあげる。これが報酬になり、吠えが強化される。

【すべき行動の強化】吠え以外の要求を
吠える前にオスワリなど他の行動が見られたら、それに対してオヤツを与えるなど行動の強化を。

【対策】
・欲求をみたす
遊んでほしくてほえる時は、よく遊んであげて欲求をみたしておくと吠えが減る。

・満腹感を満たす
ゴハンが欲しくて吠える場合は、コングなどを使って時間をかけながら与える。

・ケージの中にいれる
「人間の食事中に吠えるからその間はケージに」など要求が通りにくいと思わせる状況を作ってあげると、あきらめるのも早くなる。

→※愛犬との距離を離す
飼い主との物理的距離が近いと「もう少しがんばれば要求が通る」と思ってしまいがちなので注意を。

 

行動別に見る対応策・マウンティング

柴犬のしつけ

犬がマウンティングする理由は、遊びや優位性を示すといったものがある。

【NG】嫌がったり反応する
マウンティングした時、嫌がったり反応してしまうとそれが報酬となることもある。

【対策】消去ではなく他の行動を
マウンティングされそうになったら、オスワリをさせて、報酬をあげる。そうすることで、他の行動を強化することができ、マウンティングが減る。

 
関連記事:犬は馬鹿にしている?それとも発情?マウンティングの理由を探る!
 

行動別に見る対応策・ひっぱり

柴犬のしつけ

引っ張り返すのではなく、飼い主がその場で止まることが無視になる。

【NG】ついていってしまう
愛犬が強めに引っ張ると止まれず飼い主もついていってしまう。

【対策】愛犬が何をしたいかくみとってあげる
消去はできるが、すべて止まるのは難しいので、止まった時愛犬が飼い主を見たら、何をしたいかをくみとって、実行してあげよう。これによって、引っ張る以外の主張の方法を覚えていく。

→※部分強化になるおそれも
引っ張ったら止まるは、毎回やらないと部分強化になる。

 

行動別に見る対応策・かむ

かまれて無視するのは難しいので、強化との併用をすすめる。

■人へのかみ
柴犬のしつけ

ブラッシングをされている時に手をかむとブラッシングがとまった、ということが強化になる。

【対策】おとなしくする行動を強化する
終わった後に与えるのでは、何でオヤツをもらえたかを理解できなくなる。だから、オヤツをあげながら行おう。そうすることで、ブラッシング中におとなしくする行動が強化される。

 
■物へのかみ
柴犬のしつけ

物をかむという行動には、2種類の理由が考えられる。そのケース別に対処方法を追っていこう。

【犬の気持ち】ただ噛みたい
物をかむというのは犬の基本的な欲求のひとつ。だが、自分の大切なものはかまれたくない。

【対策】かんでいいものを教えてあげる
特に小さい頃は歯のはえかわりのためにかむ欲求が強く、その時に強化されるケースも。この行動は欲求なので消去は難しい。なので、かんでいいものを用意し好きなだけかませる。

【犬の気持ち】飼い主の気を引きたい
この場合だと消去もうまくいくことが多いが、それだけではなく普段から遊ぶ時間も増やそう。

【対策】止めるまで他の部屋に行く
かんでもいいものを置いておき、愛犬がかんでいる間は他の部屋に移動。そしてかむのをやめたら部屋に戻り、またかみだしたら別の部屋に。一緒の時間を増やし、欲求を満たすことも大事。

【噛む理由の見分け方】1匹の時もやっているか確認
この2つのパターンを見分けるのは難しい。方法としては、留守番中にもやっているかを確認する。ただのかみたい欲求であれば、飼い主がいなくてもかんでいるはず。

 
関連記事: 甘噛み?じゃれ噛み?本気噛み?噛む理由を知って愛犬と上手に付き合おう!
 

知っとくと得する!

柴犬のしつけ

■部分強化
人間もそうだが報酬はいつももらうよりも、時々もらった方が価値が高まる。犬も同じで、いつも報酬をもらうより時々もらった方が「もっとがんばればくれるのではないか?」と大幅な強化に繋がるのだ。これを部分強化という。また、こういった方法で強化された行動は消去もされにくい。

それとは反対に、全強化という言葉もある。これは、行動をとった時に毎回報酬をもらうというもの。これだと、消去したい時もわりとスムーズにできる。

 
■弁別刺激について
弁別刺激とは、この状況でこの行動をしたらいいことがあると覚えること。日本犬はこの範囲が狭いと言われている。日本犬は、室内でフセを教えても外ではできなかったり、ゴハンの前にオテを教えても、何もない時はできないということが起こりやすい犬種だ。

だから、何かの行動の強化をしたい時、同じ状況、同じやり方で報酬をあげて強化させなければ強化されにくい。

 

知らない内に問題行動を強化していることも

注意しなければいけないのは、飼い主が知らず知らずのうちに報酬を与えて行動の強化をしてしまっていること。

例えばオヤツを机の上から盗んだ時取り返そうと思って、愛犬を追いかける。だが、愛犬は遊んでくれていると勘違いして、それが報酬となることも。

他にもイタズラをしたので、声をだして注意したなど、犬にとって報酬になるものは人間が考えているものとは違う場合も。

無視しているつもりが、いっこうに愛犬の様子に変化がない場合は、自分の行動を振り返ってみよう。

また、消去バーストが起こっている際は、愛犬がどんな行動をとっても無視しなければいけない。だが、日本犬の場合はひとりの時間を大切にする犬が多い。よって、飼い主が無視をしただけでは、無視された感覚になっていないケースがある。無視されていることを分かりやすくするために、愛犬がいる部屋から他の部屋に移動して、1匹にさせるのが効果的。吠え止んだら部屋に戻ってあげよう。

また、要求吠えを無視していると、吠え以外の行動にでる場合もある。壁を手でカリカリしたりするなど、あの手この手で要求をしてくることがあるが、その場合も部屋に戻らずに、無視をしよう。ケージに入れることも効果的。

ただ、何か問題行動をやった後にケージに入れて無視をすると、ケージは罰を与えられる場という印象が強くなってしまうことも。入れるタイミングに注意

 

その報酬ほんとに喜んでる?

柴犬のしつけ

望ましい行動を強化したいのに、報酬にならないものを愛犬に与えて、強化に失敗することもある。

洋犬の場合は、望ましい行動をしたら、撫でてあげるだけでも報酬になるケースがよく見られる。

しかし、日本犬は撫でられることが好きではない犬も多い。洋犬に比べ、食への執着がうすい犬もいるので、喜んでるか見分けるのは難しいが、そのミステリアさも日本犬の魅力。

報酬になり得る愛犬の好きなものを把握して、適切な報酬を与えてやろう。

 
関連記事: 【ご褒美マスター】TPOを見極めて、愛犬に正しい報酬を与えよう!

 

我慢比べに勝つために誘導してあげる

ここまで強化と消去のメカニズムを使っての、愛犬のしつけ方法を紹介してきた。

強化はほめてのばすという、考え方に似ている。しかし、知らないうちに問題行動に発展しうる行動を強化していることもあることに注意を。

また、問題行動を消去させたいのなら、消去バーストは必ず起こるということは覚悟しておこう。無視をする強い意志と無視ができる準備を整えることが大切

問題行動の消去だけを考えるとかなり難しい。吠えたり飛びついてきたりする愛犬を無視するのは、なかなか大変だ。さらに何かしらの行動がなくなると他の行動が増えることもある。

その意味でも、消去と同時に望ましい行動を強化していくことが大切

またかまって欲しいという感情表現によって起こる問題行動の場合は、消去や強化を考える前に、愛犬との関係を見直そう。何か困ったことがあるのなら一緒にいる時間を増やしたり、散歩の回数を増やすなどして根本を見つめ直してあげよう。

我慢比べに勝つというよりも、飼い主が勝てるように愛犬の感情や欲求をうまく誘導したり消去してあげる。そのうえで、強化、消去バースト、消去のメカニズムを使ってお互いに暮らしやすい関係を作っていこう。

ちなみにこのメカニズムはほとんどの動物に見られる。もちろん人間だって。子どもや旦那の教育にも応用できるかも?

 
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Shi‐Ba vol.66『引っ張り、吠え、etc……行動のエスカレートは好転の兆し!?我慢比べで愛犬を変える!』より抜粋。
※掲載されている写真はすべてイメージです。

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